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タコの旨味が詰まったパスタ


長楽館 コーラルの蛸ラグーを詰めたファゴッティーニ 大徳寺納豆の旨み

京都市有形文化財「長楽館」に併設の「コーラル」。永谷六方さんは、昨年料理長に就任した後、粉やオイルなどの食材をほとんど変更した。責任ある立場に対する意欲の表れだ。例えば一部の野菜は、自ら大原の朝市に出向いて仕入れている。

イタリアンの基本に京都の恵みを融合する

「10年間師事した日髙良実シェフから、素材を大切にすることを学びました。せっかく京都に生まれ育ったので、イタリアンを逸脱しない範囲で地元の素材を使用したいのです」

タコの旨味を閉じ込めたパスタに合わせるソースは、その象徴だ。日髙シェフに教わったイタリアンパセリのソースに、京都名物の大徳寺納豆を使ったソースをプラスする。

「実家の周辺に生えていた山菜や、父親が作っていた料理の価値に気付いたのは大人になってから」と永谷さん。観光客向けの飲食店がこぞって使うようになった“京野菜”も、永谷さんにとっては幼なじみなのだ。

東京と京都では、水も違えば人も違う。繊細にして自由な感覚と、故郷に対する思いを詰め込んだ、永谷さんのパスタはただいま進化中だ。

一旦リゾットを作りタコの旨味をコメに吸わせる

ソフリットと下津井産のタコは、一旦ラグーを作ってリゾットにすることで、タコの旨味を逃がさない。あくまでもパスタの詰め物なので、イタリア米のリゾットだが、芯を残さないようじっくり炊ききる。

焦がしバターのソースに大徳寺納豆がアクセント

強い塩気とコクが特徴の大徳寺納豆は、数粒でもインパクト十分。大原の新鮮な青ネギと合わせて、多めのバターでしっかり炒めたソースは、コクがあって旨い。イタリアンパセリのソースと2種使いで変化を出す。

【レシピ】蛸ラグーを詰めたファゴッティーニ 大徳寺納豆の旨み

岡山県下津井産のタコの味に感動して、思いついたパスタ。タコの旨味をリゾットに吸わせ、逃がさないよう生地で包み込んだ。焦がしバターに大徳寺納豆と大原の青ネギが溶け出したソースに、イタリアンパセリのピュレとコリアンダーの花がさわやかさを添える。長年学んだイタリアンの基本に、京都の素材を融合させている

材料

◦ファゴッティーニ(作りやすい分量)
強力粉…200ℊ/セモリナ粉…100ℊ/コーンスターチ…10ℊ/全卵1個と水…合計140 ℊ/塩…1 ℊ/オリーブオイル…5㏄
◦蛸ラグー(作りやすい分量)
タコ…1匹(2㎏サイズ)/ソフリット…500ℊ/トマトソース…300㏄/タイム…2本/水…適量
◦詰め物用リゾット(1人分)
エシャロット…少量/バター…2ℊ/白ワイン…30㏄/イタリア米…10ℊ/白インゲン豆…10 ℊ/エクストラヴァージンオリーブオイル…2㏄
◦バターソース(1人分)
バター…40ℊ/大徳寺納豆…4粒/青ネギ…5ℊ/オルツォ…10ℊ
◦イタリアンパセリのソース(作りやすい分量)
イタリアンパセリ…50ℊ/エシャロット…1ℊ/松の実…2ℊ/エクストラヴァージンオリーブオイル…100 cc /コショウ…各適量
◦仕上げ用
コリアンダーの花…少量


作り方

1.ファゴッティーニを作る。粉をよく混ぜ合わせる。卵、水、塩、オリーブオイルを混ぜ合わせる。その2つを合わせて手でよく練り、コシを出してからひとまとめにして真空で半日以上ねかせる。
2.1の生地をパスタマシーンで1.8㎜にのばす。6㎝角に切り分けたものを5枚用意する。
3.蛸ラグーを作る。タコは熱湯で5分ほどゆで、ロボクープで粗めにミンチする。鍋にタコとそのゆで汁(塩分が強い場合は水を足す)をひたひたに加え、ソフリット、タイム、トマトソースとともに30 ~40分、食感を残すように煮込む。途中水分が足りないようなら、塩分を見ながらゆで汁か水を足して、常にひたひたを保つ。
4.リゾットを作る。フライパンにみじん切りのエシャロット、バター、オリーブオイルを入れ火にかける。香りが出たら米を入れ、油がなじんだところで白ワインを入れ一気に水分を飛ばす。
5.3のラグー大さじ4を加え、水を足しながら米が柔らかくなるまで煮込む。仕上げに白インゲン豆を加え冷ます。
6.2の生地の中央に5のリゾットを5等分してのせ、軽く霧吹きをして四隅を上で合わせるように包む。熱湯で2分ほどゆでる。
7.バターソースを作る。フライパンにバターを熱し、濃いきつね色になったら砕いた大徳寺納豆、オルツォ、ななめ切りにした青ネギの順に加える。
8.イタリアンパセリのソースを作る。すべての材料をミキサーに入れ、滑らかなペーストにする。
9.6のパスタを7のバターソースと和える。皿に8のイタリアンパセリのソースを敷き、パスタをのせて、残りのバターソースをかける。コリアンダーの花を散らす。

Roppou Nagatani

1980年京都・花脊の和食店「桂雅堂」に生まれる。新潟の「ラ・バルカローラ」を経て、2002年より10年間東京の「リストランテ アクアパッツァ」で修業。日髙良実氏の下で副料理長を務める。2012年に「長楽館コーラル」に移り、2013年料理長に就任。

長楽館 コーラル
Coral

京都市東山区八坂鳥居前東入
円山町604
☎075-561-0001
● 11:30~14:00LO
17:30~20:00LO
●不定休
●コース 昼3800円~、夜4800円~
●50席 http://chourakukan.co.jp/
※価格は税込み

藤田アキ=取材、文 久保田康夫=撮影

本記事は雑誌料理王国240号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は240号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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