食の未来が見えるウェブマガジン
                   

大阪で愛される魔法のステーキ「ステーキ岡田」

ステーキ岡田

時代を超えて愛され続ける名匠のスペシャリテがある。知る人ぞ知る大阪・北新地の炭火焼専門店 「ステーキ岡田」の主人岡田常盤生さんと、「厳選された雌牛の炭火焼きステーキ」に迫ります。

岡田常盤生
岡田常盤生 Tokio Okada
1932年、兵庫県神戸市生まれ。戦後13歳のとき、神戸の進駐軍の将校などが集まるオフィサーズクラブで働き、料理の道へ入る。大阪北新地の鉄板焼き店に勤務後、1982年、大阪の堂島で炭火焼専門店「ステーキ岡田」をオープン。以来32年、究極のステーキで食通をうならせている。

ご覧のように14席の小さな店ですが、ここ大阪の北新地でオープンしてから32年目を迎えています。82歳になりましたが、自分では現役のつもりです。10年前から娘が手伝ってくれるようになり、こうして二人でお客様に喜んでいただけるステーキをお出しできることを、心から幸せに思っています。

世の中にこんなに旨いものがあるんだ、と思ったのは13歳のときでした。日本が戦争に負けた年です。神戸・北野町に進駐軍の将校クラスの人が集うオフィサーズクラブができました。

食べることにも事欠くあの時代、幸運にも進駐軍のクラブで働くことができました。これが私の料理人人生のスタートラインでした。

もちろん、皿洗いなど雑用が仕事で、がむしゃらに働きました。食べることができる。これだけで幸せでした。しかも時折、ステーキを食べる機会もありました。

それまで日本で牛肉といえば、すき焼きがせいぜい。ステーキを食べるなんて、ないに等しいわけです。こんな牛肉を食べているアメリカ人と戦争して勝てるわけがない、と思いましたね。

ステーキは、焼くのも食べるのも大好きです

ステーキに惚れ込み、牛肉についていろいろ勉強しました。料理は、素材が勝負です。厳選した雌牛の極上のものだけしか使いません。

触ってみれば分かりますよ。肌に弾力があり、とても美しい。赤身の野性味と、優雅な甘味が両立しています。

長年、この世界で生きてきましたから、仕入れにも、信頼関係を培ってきた人脈があります。それが私の財産ですね。

今は数多くのブランド牛が市場に出回っていますが、私は自分の目と舌が惚れ込んだ雌牛しか使いません。最近では、熟成肉の旨さなどもいろいろと言われていますが、実は私にはよく分からない。

極上の素材を、さらに活かすのは焼き方。この店を開く前は、鉄板焼店で働いていました。ステーキは、ほとんどが鉄板で焼きますよね。でも、私は炉を使った。イギリスではレンガで作ったこうした炉で焼くそうです。使う炭は紀州備長炭。

炭火焼は素材の味を引き出します。熱の浸透力がよく、脂肪が下に落ちる。ほら、炉のなかを見てください。脂肪が落ちて炭火が、こんなに赤々と燃えているでしょう。

炭の香りを纏い、黒く焼き上がったステーキの中は、美しい赤色です。この焼き上がりの感じはアメリカンスタイルです。シンプルに塩で召し上がるお客様が多いですね。ステーキは約200gありますが、お年を召した方でもペロリと食べてくださいます。脂があっさりとしているので、夜遅く食べても翌朝、胃に残るなんてことはありません。

私自身、この年でステーキを食べています。お馴染みのお客様も、年をとっていますが、皆さんお元気です。「岡田のステーキのおかげだよ」などとおっしゃっていただくと、本当にうれしいですね。

命ある限り、「岡田のステーキ」を守っていきたい。そして、娘に私の知ることすべてを伝え渡したい、と願っています。

Specialite 厳選された雌牛の炭火焼きステーキ

ステーキ岡田

炭火で豪快にいぶられ、肉の旨みを閉じ込めた極上のステーキは、口のなかでとろける。深い味わいなのに脂はさっぱりとしている。これぞ、食する至福。

ステーキ岡田

炭火焼専門店 ステーキ岡田
大阪市北区堂島1-3-19
06-6341-1410
● 17:00~21:00(要予約)
● 土、日、祝休
● ステーキコース20000円~
● 14席


長瀬広子=取材、文 村川荘兵衛=撮影
Text by Hiroko Nagase Photos by Shohee Murakawa


SNSでフォローする