食の未来が見えるウェブマガジン「料理王国」

成功する料理人・サービスマンはここが違う!!


料理の世界を志し、キャリアアップを重ねながら自分の城を構えた料理人とサービスマン。目標達成の秘訣は? ターニングポイントはどこか?独立・開業までの歩みから、成功のカギを探る。

CHEF

明確な目標と強い意志で前に進む

レストラン リューズ 飯塚隆太さん

子供の頃から料理好きで、手に職をつけるならと、この道を志した飯塚隆太シェフ。

「調理師学校では勉強はともかく、実習は人一倍一生懸命でしたよ。オムレツで火入れの加減や調理の段取りを覚え、シャトーむきで包丁の使い方や手の動かし方を身につける。基礎はあとで必ず役に立つから」

ホテルに就職してからのモチベーションを支えたのは、コンクール。22歳で挑戦したフランス料理最優秀見習い料理人コンクールではグランプリ、SOPEXA料理コン クールはファイナリストに輝く。「受賞が目的ではなく、自分の立ち位置を確認する意味での参加。とにかく30歳までは技術を徹底的に磨くつもりだったから」

ホテルでキャリアを重ねる一方、飯塚シェフの中では、本格的なフランス料理への思いが次第に増していく。そして「タイユバン・ロブション」の門を叩き、転機を迎える。

「ホテルとは違う世界、フランスそのものだった。求められたのは仕事の正確さ、組織でのパフォーマンス。自問自答の毎日でした」

 同レストランでは全セクションをまわり、フランス修業も経験した。調理師学校の教授を務めたこともある。将来、店を持つことを想定しての決断。料理教室をやれば経営的に幅も広がるし、コミュニケーション力や指導力を養えると思ったからだ。その後は「ラトリエドゥジョエル・ロブション」へ。シェフに就任してからの功績は、広く知られるところ。独立した今は、安定した組織作りと人材の育成に力を注ぐ。「独立より店をいかに長く続けるかが大事。うまい料理だけでお客さまが来る時代ではないし、チームの結束を高めてマネージメントをし、経営を成り立たせないと」

 つねにベストを尽くす姿勢と不断の努力が、今ようやく実りつつある。

POINT

  1. 30代までは技術を磨き、独立までに知識を蓄積する
  2. ポジティブにものごとを考え、目標とビジョンを明確にする
  3. 成功した人を見習い、学ぶ人とのつながりを大切にする

SERVICE

顧客との深い関係が未来を呼び込む

レストラン レカイヨ 高橋淳一さん

日本のフレンチ界を牽引する名店「シェ・イノ」一筋20年。支配人を経て独立した高橋淳一さんはサービスマンとして長い経歴を誇るが、実は料理人を目指してこの世界に入ったそう。1年目に店の事情で転身したものの「専門学校の授業やフランスで見たサービスマンの影響で、この仕事もおもしろいなと思っていたんです」。ほかの店へ顔を出しサービスのコツを盗むなど、がむしゃらに仕事を覚えたという。

30歳で支配人に就任。求められるものが増えていく。「サービスマンとして一番大事なのは、顧客との関係作りです。どこまで深い関係を築くことができるか。毎日が勝負でした」。お客として見ると、距離が生まれてしまう。だから人としてつきあっていく。ポイントは、素直に接すること。ノーと言わないこと。「すると、お客さまがかわいがってくれるんです。今度飲みに行くぞって」。独立に至ったのも、ある顧客が声をかけてくれたのがきっかけだ。

店を持つならビストロではなく、レストランと決めていた高橋さん。「ただ独立するのなら2年もキャリアがあればいい。でも、僕にとっては「シェ・イノ」の支配人としての10年は必要でした。いずれにしても、ちゃんとした店でトップに立った経験がないと厳しいでしょうね」

この業界では辞め時も難しいが、高橋さんは円満退社。「お客さまに接するのと同じで不義理をしないこと。状況を見極め話を通す。井上シェフにも応援していただいてます」現在の顧客リストは約4000人。独立してその数はさらに増え続ける。

「目標は長く店を続けていくことです」。そう話す高橋さんの新たなるステップは、まだ始まったばかりだ。

POINT

  1. 表面のつきあいだけではない顧客との関係性を築く
  2. 一カ所の店で一回でもトップとしての経験を積む
  3. 独立時は在職中に店を盛り立て円満退社で味方を増やす

森 育生、小久保敦郎=文 太田隆生=写真

本記事は雑誌料理王国218月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は 218月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


SNSでフォローする