「『マッケローニ デ ブーサ』はサルディーニャ島での修業時代、羊飼いの家庭で食べた思い出の料理です。そこでは野菜やパン、チーズ、サラミ、肉料理、デザートと食べきれないほどの料理でもてなしてもらいました。『タロス』では、こうしたサルディーニャの家庭料理のおもてなしを目指しつつ、レストランとして価値を高めた料理を提供しています」と話すのは、イタリア各地で5年、うち2年をサルディーニャで修業してきた馬場圭太郎さんだ。
サルディーニャ島の南部はアフリカの、北部はジェノバの影響をそれぞれ受けており、人種も食文化も異なる。そのなかで馬場さんは、中央部の古くからサルディーニャ人が住むエリアにも訪れた。野菜料理や羊料理が多く、豪快かつシンプルな調理が主流。一方でパスタは、セモリナ粉と水のみというシンプルな生地に詰め物をする、手の込んだショートパスタを作ることが多いという。
「マッケローニ デ ブーサ」は、メイン料理として提供する豚肉のトマト煮込みのソースをパスタソースに転用した一品。ひとつの料理から2品できる効率のよさには、家庭料理らしさがうかがえる。
店で提供するパスタは常時8〜9種。うち6種は乾麺で、手打ちパスタは月替わりのメニューで差し込む。手打ちパスタは形のよさよりも、手づくり感を打ち出すことで、食感の違いを楽しんでもらえるようにしている。
「日本人の口に合うようアレンジは加えています。というのも日本人は唾液量が他の人種に比べて少ないので、パスタは水分を多めにしているんです」と馬場さん。
現在「タロス」の現場はシェフの野 雄さんに一任し、馬場さんはマネジメントに回っている。店の料理を担当する長野さんは、日々現地の郷土料理を研究し、「タロス」の料理を進化させ続けている。
マッケローニ デ ブーサ
豚肩ロースの表面を焼き、皮付きタマネギ、ニンニク、ローズマリーとトマトで煮込む。豚肉の旨味が抽出されたトマトソースを、マッケローニと和えることでパスタが完成。豚肩ロースはメイン料理として提供する。
小麦粉と水のみで作るシンプルな生地が主流。形の美しさもさることながら、手づくりによる多少のブレ感があったほうが、異なる食感を楽しめると考える。「巷のパスタはパスタの量に比べるとソースや具が多いが、パスタとソースが一緒に食べ終わる分量が理想」と言う。
生地を棒状に伸ばし、細長い鉄の棒に巻き付け、くるくると成形。ひとつひとつ形状の異なる手打ちらしさのおかげで、食べたときにさまざまな食感が楽しめる。完全な筒状ではなく隙間の開いた形は、ソースとの絡みもよい。
Yu Nagano
1985年岩手県生まれ。調理師専門学校を卒業後、都内のイタリア料理店数店で料理人としての技術を磨き、2013年に「タロス」に入社。
2016年に料理長に就任する。
Keitaro Baba
1971年新潟県生まれ。都内レストランで修業を積み渡伊。サルディーニャ「ダル・コルサーロ」やシチリア「ラ・ムチャーラ」などで修業し、帰国後は東京・表参道「ナプレ」などを経て2007年独立。現4店を構える。
タベルナ タロス
Taverna Tharros
東京都渋谷区道玄坂1-5-2
渋谷SEDEビル 1F
☎03-3464-8511
● 12:00~15:00(14:00LO)
月~金18:00~24:00(22:30LO)
土日祝17:00~23:00(21:30LO)
● 無休 ●コース 夜5000円~ ●64席
www.tharros.jp
本記事は雑誌料理王国288号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は288号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。