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データの集計と解析でお茶をもっと身近に「teploティーポット」


データの集計と解析でお茶をもっと身近に。
エンジニア視点が生んだIoTティーポット。

日本出身のハードウェアエンジニアとインド出身のソフトウェアエンジニアがアメリカで出会い、お茶を淹れる行為をアップデート。パーソナライズされたデータを生産者にフィードバックし、お茶文化の新しい地平を切り開く。

teploティーポット

勘や経験を数値でコントロール誰でもいつでもおいしいお茶を

 ある調査によると、今や家庭での急須保有率は60%を切り、20代に至っては約30%だという。ペットボトルで手軽に飲める時代に、茶葉の量、水量、抽出時間、抽出温度に心を砕きながらお茶を淹れることは、嗜好性の高い習慣になりつつある。しかし、エンジニア目線でお茶を淹れる要件を捉え直せば、そこに拡がっていたのは、数値制御が可能な秩序のある世界だった。「おいしいお茶が飲みたい時に、個人の勘や経験で左右される部分を改善できたらと思いました」というのは、株式会社LOAD&ROAD の代表取締役でハードウェア開発担当の河野辺和典氏だ。ボストンの大学院に留学中、お茶のおいしさに開眼。同じく留学生だったインド出身のソフトウェアエンジニアで共同開発者のMayuresh Soniと出会い、お互いの国に共通するお茶をテックによってアップデートすべく、2015年に開発をスタート。スマートフォンアプリと連携してお茶を自動抽出する、スマートティーポット「teploティーポット」を作り、2019年には、世界最大の家電見本市「CES」において、「CES イノベーションアワード」を受賞している。

 「teploティーポット」の使い方は簡単だ。アプリ内のお茶のデータベースからポットに水を注ぎ、茶葉をセット。アプリ内のお茶のデータベースからお茶の種類を選択。センサーの上に指をのせ、その日の体調や気分、周囲の騒音のデータを解析。自動で抽出条件を調整し抽出。データベースにはteplo公式の緑茶やほうじ茶など20種類の茶葉の情報が詰まっているが、手持ちの茶葉でも淹れる条件をアプリに登録すれば自動で抽出してくれる。

 このプロダクトの開発を始める際、生産者や販売者など様々なお茶のプロにヒアリングした河野辺氏は、そこで、センサーを開発するヒントを得た。「お茶を淹れる時に何が重要か尋ねると、お茶を淹れながら、飲む人の表情やその日の気候などをみて、少しずつ淹れ方を変えているとのこと。その人に合ったお茶を出す双方向のコミュニケーションが存在するのが、お茶の良さです」。

 お茶を淹れる相手が誰かでも、自分でも、心を込めた一杯でもてなす。一期一会の茶の湯の心は、たとえIoTが介在しようとも受け継がれていく。

8月に発売開始後、一時は品切れになるほどの支持を得ている「teploティーポット」。専用アプリには公式茶葉20種類の他にも、随時追加されていく予定。
https://teplotea.com/ja

text 浅井直子

本記事は雑誌料理王国2020年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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