食の未来が見えるウェブマガジン

ここのジビエが旨い理由#3 神泉「TSU・SHI・MI」


ダイコンを主役に仕立てて
野ウサギの旨味を閉じ込める

日本で育った伝統野菜や農産物に着目し、2010年に「日本の大地で生まれるすべての野菜が主役となる料理」を提供するレストランとしてリニューアルした。オーナーシェフの都志見セイジさんの信条は「肉や魚は、主役となる野菜をおいしくいただくための付け合わせ」。都志見さんは、今までにない発想のフランス料理に挑戦し続けたいのだ。「うちはジビエの名店というわけではないけれど、秋冬には千葉県山武市から届く鹿、猪、マガモ、タシギなどを使って季節感を表現します。まず野菜を決め、クセのあるジビエに負けない調理法や食感を考えるのが、料理人の醍醐味です」

【 野ウサギ】 千葉県産
千葉県山武市産。猪、鹿、マガモなどほとんどのジビエは、同市でレストランを経営する「えちごや」から届く。


この日のメインは、苦味の強い「からす大根」。千葉県産の野ウサギのガラやブイヨンに、赤ワインビネガー、フレッシュローリエなどを加えたダシで3時間。とろけるほどやわらかく煮込む。濃密な旨みを吸収したヨーロッパ原産の黒い大根は、主役の名にふさわしい味わいと食感を醸す。「土の香りがする大根は、ジビエとの相性も抜群。干した葉や根、茎なども使って、大根を200パーセント活かした料理にしたい」日本のテロワールを強く意識した、革新的なジビエの誕生である。

〝THE DAIKONS〟からす大根、静むらさき、もみじ大根、山武の野うさぎ
野ウサギの旨味をからす大根に閉じ込めた、ダイコンが主役の料理。野ウサギのガラ、ブイヨンにバター、ハチミツ、赤ワインビネガー、フレッシュローリエなどを加えて3時間煮込み、とろけるほどやわらかく仕上げた。骨付き肉は、大根の葉とソテーして香りを移す。静むらさき、もみじ大根、コカブをあしらい、仕上げにダイコンの泡を添えた。「野菜の甘味や苦味を引き立てるのは、鮮度がよく、主張しすぎない国産ジビエ」と都志見さん。

text 小林薫   photo 大野利洋

本記事は雑誌料理王国第235号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第235号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


SNSでフォローする