毎日でも通いたくなるような、居心地のいい飲食店が増えている初台、幡ヶ谷、代々木上原のトライアングル地帯。そんな熱量の高い街に、またひとつ注目の新店がオープンした。
人気店「path」でシェフを務めていた光安北斗さんが、幡ヶ谷駅近くに自身の店を開いたのだ。グランドオープンは2月16日。
ガラス張りのスタイリッシュな外観が目を引く天井の高い空間。奥には長いカウンターと個室があり、手前は大人数でワイワイ食事が囲める大テーブルになっている。カウンターの後ろに本を並べるなど、リビングのようにリラックスした雰囲気も心地よい。
「世代や国境を越えて、色々な人たちが集まってくる場所を作りたくて」と話す光安さんは、語学留学で行ったニュージーランドからパリへ渡り、フレンチの基礎を身に着けたという。その後、ニューヨークで働いたレストランに大きく感銘を受けて「will o wisp」に至る流れができあがった。
料理は日本の優秀な食材ありき。友達の紹介などで繋がった生産者を訪ね歩き、自信を持って出せる食材を探し出した。料理のベースとなる技法はフレンチだが、その行きつく先は今まで出会った様々な国のエッセンスを取り入れている。
例えば、佐渡島で水揚げされた活平目には金柑のハラペーニョを敷き、上からそのパウダーをパラリ。焼き白子にはゆり根のピュレと牛乳から作るミルクスキンを合わせた。真っ白いビジュアルが印象的なこの皿は、ミルキーな白子にゆり根の甘みが優しく寄り添う。光安さんの作る料理は、初めて出合う味でありながらなぜかホッとするような温かさに満ちていた。器好きの母が集めたという和食器を使っているのも、そんな魅力を引き立てている。
メニューはコースあり、ア・ラ・カルトあり、みんなで大皿をシェアするなど、自由度の高いスタイルが基本。「あらゆるニーズに応えられたらいいなと思っています」とにっこり。サービスはフレンドリーでゆるやかだが、それでいて出す料理は突き抜けてハイスペック。そのギャップがまた新鮮なのだ。料理を引き立てるドリンクは、クラフト性の高いワインや日本酒、ビールなど、ボーダーレスなセレクトが光る。
店名の「will o wisp」は、鬼火とか、松明といった意味があるとか。街に灯った小さな明かりが、温かく迎えてくれる。ここはそんな場所になっていくのかもしれない。
will o wisp
ウィル オ ウィスプ
03-5738-7753
東京都渋谷区幡ヶ谷1-33-2