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料理界の食いしん坊 山田宏巳さんおすすめ「肉の旨い店」3選

炉窯を使うと、高温になる炭の直火や遠赤外線による輻射熱などによって、高温で均一な火入れが可能に。だから、ふんわりとしたステーキが出来上がる。

肉の旨い店『和牛料理さんだ』
アイデアあふれるモツ料理

「リストランテ・ヒロソフィー銀座」山田宏巳オーナーシェフおすすめ、「さんだ」の肉三昧のコース。
肉三昧のコース料理。まずは生の状態をゲストに見てもらい、適宜、その場で調理する。

こちらは、黒毛和牛のさまざまな部位のモツを、コース料理で楽しむことができる店だ。親方は、昔、牛のさばき方を学ぶために、品川の食肉センターで働いていたこともあるほどの料理人。その縁で、今もその日いちばんのモツを分けてもらえるのだという。

買い付けてきてすぐに下処理を施したギアラ。ほんのりピンクがかった美しい色合いで、臭みもまったくない。これも新鮮でていねいに下処理されているからだ。
買い付けてきてすぐに下処理を施したギアラ。ほんのりピンクがかった美しい色合いで、臭みもまったくない。これも新鮮でていねいに下処理されているからだ。
肉の旨い店『和牛料理さんだ』で、ギアラの下処理。内側にななめに隠し包丁を入れている。
ギアラの内側にななめに隠し包丁を入れていくことで、硬くもなく柔らかくもない、ほどよい食感が保てる。

市場が開いているときは、スタッフが毎日買い付けに行く。店に帰ってくると、すぐに下処理。それぞれの部位に切り分け、汚れや血管はきれいに取り除く。この間、約2時間。スタッフは毎日、これを繰り返す。こうしたていねいな下処理が、ホルモン独特の臭みを取り去り、旨い料理へとつながっていく。
噛みやすく、食べやすくするために、ていねいに隠し包丁を入れるのも、この店の特徴。煮込みにも隠し包丁を入れているのは、ここぐらいではないか。鮮度はもちろん、こうした労を厭わない仕事ぶりが、25年間この店を支えているのだと僕は思う。

肉の旨い店『和牛料理さんだ』のアキレス腱を細切りにしてボイルした一皿。
アキレス腱を細切りにしてサッとボイルしたものを、ポン酢でいただく。途中でこうした食感も味わいも独特な料理が入ってくるのも、食べ飽きない秘密だろう。

また、親方はさまざまなジャンルの料理を経験しているので〝料理の引き出し〞が多い。これも、この店の魅力だ。とくに、牛のアキレス腱をふぐ料理のように提供するひと皿は、親方のオリジナル。コリコリとした食感は、まるでふぐを食べているかのようだ。コースで15〜16品出てくるが、食べ飽きない、食べ疲れない。それは、味だけではなく、食感も変えて出してくるからだろう。さらに、締めのラーメンが心憎い。
「ラーメンそのものがおいしくても意味はない。モツ料理の締めに食べたときにおいしいラーメンじゃないとダメ」という親方の言葉通り、牛タンのしゃぶしゃぶの出汁をスープにした締めのラーメンは、ほんとうにお腹に優しい。

肉の旨い店『和牛料理さんだ』のギアラ串焼き。遠赤外線の焼き台で焼いている。
遠赤外線の焼き台で焼くギアラ(4番目の胃袋)は、噛みごたえはあるが、決して硬くはない。これも、隠し包丁を入れていればこそだ。

以前、二ツ星レストランのスペイン人シェフを連れてこの店に来たら、「感動で鳥肌が立った」と言っていた。「モツは嫌い」と言っていた人が、この店のモツ料理を食べて、モツが好きになった、という話は、枚挙にいとまがない。
和牛料理の店だけに、狂牛病問題やレバー事件などで何度も痛手を受けたらしい。店に客が一人も来なくなったこともあったそうだ。そういう困難を乗り越えて、25年もの間、店を続けているのはすごいことだと思う。

Sanda
牛肉料理 さんだ

東京都港区六本木4-5-9
4-5-9, Roppongi, Minato-ku, Tokyo
☎03-3423-2020
●17:30~23:30(土曜は~23:00)
●日・祝休
●コース6000円(税別)
●30席
http://sanda.tokyo/

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