料理界の食いしん坊 山田宏巳さんおすすめ「肉の旨い店」3選

炉窯を使うと、高温になる炭の直火や遠赤外線による輻射熱などによって、高温で均一な火入れが可能に。だから、ふんわりとしたステーキが出来上がる。

肉の旨い店『トロワフレーシュ』
ふっくらステーキ

「リストランテ・ヒロソフィー銀座」山田宏巳オーナーシェフおすすめ、「トロワフレーシュ」 炭火ステーキをカットした美しい断面。
きちんと火が入りつつも、内側は美しいピンク色。肉汁もしっかり内包して、ふんわりとしている。

最後は、「麤皮」の流れをくむ「トロワフレーシュ」だ。「麤皮」同様、オリジナルの煉瓦炉窯で焼き上げるが、焼き上がったステーキは、まさに「ふっくら」。火はきちんと入っているのだけれど、肉汁も旨味もすべて内包したかのようなたたずまいで、口に入れると、その肉汁や旨味が口中にふわっと広がる。
良い牛肉をきちんと火入れすると、これほどおいしいステーキになるんだな、ということを分からせてくれる店だと思う。聞けば、紀州備長炭のなかでも最高級の「馬目上小丸」を使い、約800度まで上がった備長炭の直で焼き上げるため、表面はカリッと香ばしく、肉汁はしっかりと肉の塊のなかに閉じ込められるのだという。

「トロワフレーシュ」の炭火ステーキを焼く前、さらさらと塩をふりかけて、すぐに高温の炭の上にのせる。
炭火ステーキに合う厳選された牛肉を用意し、さらさらと塩をふりかけて、すぐに高温の炭の上にのせる。シンプルだが、肉本来の旨味が味わえる。
「トロワフレーシュ」の炭火ステーキ用につくられたオリジナルの煉瓦炉窯。
炭火ステーキ用につくられたオリジナルの煉瓦炉窯。

味付けは、シンプルに塩だけ。大きな塊にカットされた肉の表面に、粉雪のように塩をふりかけ、すぐに高温になった炭の上へ置く。すると、焼き塩の効果で旨味を増した塩が、和牛のもつ旨味をさらに引き上げるのだという。これぞ、ステーキの醍醐味。僕は、肉はやはり塊がおいしいと思っている。
好みはきれいにサシが入った和牛。口中で肉汁を感じ、ふわっと旨味や香りが広がる牛肉がやっぱり僕は好きだ。でも、それはステーキに限ったことではない。どんな調理方法であっても、肉そのものの旨味を感じたいと思う。牛肉は奥深い。「酢牛」で驚かされたように、まだまだ料理の仕方はいろいろあるのかもしれない。旨い店に通って、僕もまた、勉強させてもらっている。

炉窯を使うと、高温になる炭の直火や遠赤外線による輻射熱などによって、高温で均一な火入れが可能に。だから、ふんわりとしたステーキが出来上がる。
炉窯を使うと、高温になる炭の直火や遠赤外線による輻射熱などによって、高温で均一な火入れが可能に。だから、ふんわりとしたステーキが出来上がる。
トロワフレーシュ_店舗

Trois Fleches
トロワフレーシュ

東京都中央区銀座8-2-8 銀座高本ビル2F
8-2-8, Ginza, Chuo-ku, Tokyo
☎03-3572-0003
●17:00~22:00
●日・祝休
●コース18000円
●18席
www.trois-fleches.com

山田宏巳

山田宏巳/Hiromi Yamada
1953年、東京・浅草生まれ。
18歳でイタリア料理界に入り、都内数店の料理長を経て、95年「リストランテ・ヒロ」を開店。現在、7店舗の総料理長を務める。2017年12月をもって「リストランテ・ヒロソフィー銀座」を閉店し、2018年春には、東京・南青山に「テストキッチンH」を開店する予定。


山内章子=取材、文 星野泰孝=撮影

本記事は雑誌料理王国第281号(2018年1月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第281号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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