現在、自身がぜひ訪れるお客に味わってほしいと考えるのが「鶏レバー・ハツ・砂肝・トサカのラグー ブッコリ」。
「ドンチッチョの姉妹店で出してみたけれどトサカの形状がグロテスクなためか、まったくウケませんでした(笑)。ただ、これは現地で学んだ『鶏一羽にしても、無駄にせずすべてを使い尽くす』、もったいない精神を体現した大切なものです」
ハツや砂肝の特徴的な食感に、噛むごとに内臓特有のまったり甘やかなレバーの風味がパスタに絡み、ソースのように作用する。丁寧に下処理したトサカ部分は、ぷりぷりとして意外にも淡泊。
2品ともどっしり重心の低い“男らしい”味わい。ビジュアルは地味極まりないが、ともに根底に独特の艶っぽさと色気を湛えている。注目すべきは、いずれも主張の強い素材を多用していながら、細部まできっちりかみ合った絶妙のバランス感覚だ。
「石川シェフは、おおらかではあっても大雑把ではなく、繊細」と髙橋さんは語る。
骨太でダイナミックであることが、イタリア郷土料理の醍醐味。ただし、それだけではない。味わいの着地点を左右する繊細さというセンスを共有する師弟が今、世界中の料理が味わえる東京において、それぞれのポジションで「男らしく」勝負し、郷土の力強さを伝えている。
材料(1人前)
トサカ 8枚
レバー 80g
砂肝、ハツ 各15g
ソフリット 80g
ニンニク 1片
マルサラ 20ml
ローズマリー 2~3本
ローリエ 1枚
オリーブ油、香味野菜 各適量
ペコリーノチーズ 20g
塩 適量
ブッコリ 80g(1人前)
作り方
1. 鍋に1.5lの湯を沸かして香味野菜とローリエを入れ、トサカを2時間ほど煮る。
2. オリーブ油とみじん切りのニンニクを熱し、トサカと粗みじんに切ったレバー、砂肝、ハツを入れ、マルサラを加えてフランベする。 1 の煮汁100ml、ソフリット、刻んだローズマリーを入れ、塩で味を調える。
3. 茹でたブッコリを 2 に入れてよく絡め、器に盛ってすりおろしたペコリーノチーズを振る。
髙橋健太
1975年、東京都出身。千葉県内のオステリアを経て、渡伊し約6年間に渡り経験を積む。「トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ」と「アンティカ・トラットリア シュリシュリ」を経て、2018年に独立開業。
ブラマソーレ
東京都渋谷区神宮前3-42-5スピナッチヒル1F
TEL03-6434-0615
11:30~14:00(土・祝日は~15:00)
17:30~23:00
日祝月休
text 木村千夏 photo 篠原宏明
本記事は雑誌料理王国2020年8・9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年8・9月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。