トップシェフが語る!これだけはゼッタイ輸入食材5選(フレンチ編)


調味料は、香り豊かな海外のものを活用
生江史伸さん

1粒でもキャビアのような存在感が感じられるほど濃厚なペッパー。

ペッパー キャビア
ペッパーキャビア

国内の食材についても敏感に反応する生江シェフ。生産者との交流も深く広い。だが、「どうしても日本産ではイメージどおりに仕上がらない」テーマのひとつが香り。たとえばマダガスカル産の野生のコショウ「ペッパーキャビア」は、キャビアのような存在感のある香りが特徴。これを肉料理に使う。「ソースに躍動感を与えたい場合や、出会い頭に食欲を増進させる香りとして用います」。強い香りのわりには辛味が柔らかな点も気に入っている。また、スペイン産の「シェリービネガー ペドロヒメネス」は、酸や果実味がすばらしいうえに香りもよい。極力、火を入れずに使うのがポイントで、主体とガルニチュールをつなぐソースやヴィネグレットに用いる。風味豊かな料理には仕上げの塩も重要と、食材の味を引き立てるスペイン産の「フレークソルト」を使っている。

フレークソルト
ATS-FOOD㈱ 60g 1400円(税抜)

ペッパーキャビア
ATS-FOOD㈱ 20g 700円(税抜)

シェリービネガー ペドロヒメネス
ATS-FOOD㈱ 250㎖ 3000円(税抜)

Shinobu Namae
1973年生まれ。大学卒業後、料理の世界へ。2008年、イギリス「ザ・ファットダック」でスーシェフ及びペイストリー部門担当。10年、「レフェルヴェソンス」のシェフに。

牛肉の内臓のソフトな食感はフランス産に限る
ランベリーナオトキシモト 岸本直人さん

「ロニョン」とも呼ばれる「キドニー」は、牛の腎臓。

「ロニョン」とも呼ばれる「キドニー」は、牛の腎臓。
フランス産仔牛キドニー

国産と輸入物の肉を比較した場合、味わいにはまだかなりの差がある。岸本シェフが例に挙げたのが、牛の内臓。フランス産の「リードヴォー」「仔牛のキドニー」を使用している。同じキドニーでもフランス産は香りもよく、仕上がりもソフト。「日本のものは、火を入れるとキュッとしまる感じなんです」。一般的に輸入食材というと、コンディションが一定していないという問題があるが、それを差し引いても輸入品のほうが完成度は高いと言う。「牛の肥育方法も違うのでしょうが、フランスと日本では日照時間が違う。太陽の光をいっぱいに浴びて育つ、という環境の差を埋めるのは難しいかも」。このほかシェフの愛用は「シトロンヴィネガー」。フレッシュなレモンの風味は夏場には欠かせない。魚料理のソースやオードブルのパッションフルーツと組み合わせている。

フランス産チルドリードヴォー (ハート)
川島食品㈱ 価格については要問い合わせ

フランス産仔牛キドニー
川島食品㈱ 価格については要問い合わせ

ユイルドボジョレーズのシトロンヴィネガー
㈱鳥新 500㎖ 4400円(税抜)

Naoto Kishimoto
東京都出身。「ラ・ロシェル」の坂井宏行氏に師事。1994年に渡仏し、パリの名店をはじめ、各地で研鑽を積む。2006年、「ランベリー」をオープン。

フランス産の家禽類には格の違いを感じさせられる
高良康之さん

「鳩のおいしさは皮目の脂と内臓で決まる」と高良シェフ。

「鳩のおいしさは皮目の脂と内臓で決まる」と高良シェフ。
エルヴァージュ・ド・ベリーの ラカン産ピジョン

ブランド化された高価な食材が、必ずしも自分の料理のイメージと一致するとは限らない。安価な食材でも、イメージと合えば使うこともある。産地や製法、原料などが違えば、味や値段が異なるのが当たり前。これでなければだめと決め付けるのではなく、それぞれのよさを見出すのが高良流だ。しかし、それでも、譲れない食材があると言う。それは「フランス産の家禽類」で、日本産とはレベルが違うのだそうだ。気に入っているもののひとつに「エルヴァージュ・ド・ベリーのラカン産ピジョン」がある。鳩のおいしさは、ふくよかな皮目の脂の部分にあり、フランス産は皮に脂がのっていてジューシーな味わい。ところが国産の鳩は、皮が薄くて硬く、脂ののりもよくない。同様に鴨も、やはりフランス産で、「ビュルゴー家のバトー・ド・カナール・ド・ルーアン」を使用している。「脂がおいしいだけでなく、身がきれいなのも気に入っています」。

エルヴァージュ・ド・ベリーの ラカン産ピジョン
㈱鳥新 1kg 6500円(税抜)

ビュルゴー家の バトー・ド・カナール・ド・ルーアン
㈱鳥新 1kg 6800円(税抜)

Yasuyuki Takara
1967年、東京生まれ。89年に渡仏し、約2年間修業。「ル・マエストロ・ポール・ボキューズ・トーキョー」「南部亭」を経て、銀座「レカン」料理長に就任。

アスパラガスの苦味はフランス産ならでは
花澤 龍さん

ホワイトアスパラガスはマルテーズソースで提供することが多い。

フランス産ホワイトアスパラガス
フランス産ホワイトアスパラガス

ホワイトアスパラガスの時期には、料理によく使うという。最近では国産も多く出回っているが、「やはりフランス産でなければ」。フランス産のよさはタケノコに似た土っぽい味わい。また、ホクホクとした感じで噛み応えもある。「国産に比べて、 “苦味”があるという人もいるのですが、この味わいこそがアスパラガスの旨味。気に入っています」。花澤シェフは、牛肉についてもフランス産に軍配を上げる。「和牛もおいしいのですが脂が強いので少量しか食べられないというお客様が多いのです」。しかも和牛の場合は、塩、コショウ、わさびなどの味付けで充分。シェフが得意なソースには合わないのだ。「実際にお客様に伺っても、フランス産のほうが食べやすかったという人が多いんです」。このほか、仔牛の肉も、輸入食材のミルキーな味わいや歯応えが気に入っているので、輸入物を仕入れている。

フランス産ホワイトアスパラガス
フレンチF&Bジャパン㈱ 時価

フルールドオーブラック牛 サーロイン
㈱ノーザンエクスプレス 参考価格 1㎏ 5850円

モンベリアール牛ロース
㈱ノーザンエクスプレス 参考価格 1㎏ 7650円

Ryo Hanazawa
1968年、千葉県生まれ。4年半のフランス滞在中に7軒の星付きレストランで働く。96年に帰国後、「ラブランシュ」「ラブレー」を経て2002年、「ボンシュマン」で独立。

スペシャリテに欠かせない鶏肉はフランス産を
佐々木康二さん

脂のさわやかさと身のしっとり感が「ブレス産プーラルト」のよさ。

ブレス産プーラルド モツなし
ブレス産プーラルド モツなし

佐々木シェフのスペシャリテ「ブレス産プーラルドとフォアグラのパテ・アンクルート 」に欠かせない食材といえば、「ブレス産プーラルド」。プーラルドとは肥育雌鶏のことで、「雌のほうを選ぶのは、雄に比べて肉質が安定しているから」。身の旨さはもちろん、皮と身の間の脂がさっぱりしている点を、シェフは強調する。それにこの料理は、トランテアンが提携するフランスの二ツ星店「ラ メール ブラジィエ」が、1921年から守り続ける伝統のひと皿なのだ。このほか、「グリオットチェリー 甘酢漬け」もすすめたい食材のひとつ。日本にはチェリーのシロップ漬けやアルコール漬けはあるものの、甘酢漬けはないので、これを見つけるまでは自家製だったそうだ。また、フランスの星付き店で必ず使っているといわれる「ボルティエバター」は直輸入。濃厚なバターの風味と適度な塩味が、パンをおいしくするとゲストに好評という。

ブレス産プーラルド モツなし
㈱アルカン 参考価格 1㎏ 3550円(税抜)

ボルティエバター
ル・ブール・ボルディエより直輸入。

グリオットチェリー 甘酢漬け
㈱ノーザンエクスプレス 参考価格 210g 1350円

Yasuji Sasaki
1967年生まれ。2009年、ボキューズ・ドール国際料理コンクールで世界第8位に輝く。「アラン・シャペル」料理長を経て、12年より「トランテアン」料理長。


問い合わせ先

㈱アルカン
東京都中央区日本橋蛎殻町 1-5-6
03-3664-5114
arcane.co.jp

ATS-FOOD㈱
東京都港区麻布十番 2-13-4 ダイアビル 2F
03-6436-3327
http://ats-food.com

㈱鳥新
東京都板橋区仲宿39-3
03-3962-2107
www.torishin.jp

川島食品㈱
東京都杉並区方南 1-8-1
03-3325-0530
www.kawashima-s.co.jp

㈱ノーザンエクスプレス
東京都品川区大崎5-3-4
03-5487-1900

フレンチF&Bジャパン㈱
東京都品川区荏原1-19-17
03-5498-6321
www.frenchfb.com

本記事は雑誌料理王国第229号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第229号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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