食材協会レポートVol.1-4【アメリカ産ピーナッツ】

アメリカ産ピーナッツ

団体や協会を設立して、普及を図る食材がある。手に入りやすい食材から、市場にはほとんど流通しない希少食材まで、その魅力を改めて深掘りするとともに、さまざまな取り組みや研究について紹介する

世界が注目!環境負担が少なく栄養満点のエシカルフード。
国をあげて品質改良、安全性向上に取り組むアメリカの国民食

日本で流通するピーナッツは90%が輸入で、そのうち3分1のがアメリカ産だ。アメリカは、世界第4位のピーナッツ大国。年間約300万トンのピーナッツを生産するが、その80%がピーナッツバターへと加工されている。日本では加糖されたピーナッツクリームもピーナッツバターと呼ぶことから〝ピーナッツバター=甘い〞と連想する人が多いが、アメリカ食品医薬局では原材料の90%以上がピーナッツでなければ、ピーナッツバターとは認めていない。

ヴィーガンやグルテンフリー食材としても人気。
ヴィーガンやグルテンフリー食材としても人気。

アメリカ産ピーナッツの栄養素と栽培資源

ピーナッツは、実はマメ科の植物だ。ナッツ類と比べて植物性タンパク質が多く、脂質は控えめで、ビタミンやミネラル、食物繊維、良質な脂質であるオレイン酸などを豊富に含む。

栄養バランスに優れ、腹持ちがよく、低GI食品でもある健康食材のピーナッツは、栽培時から消費者の手に届くまで、環境に負荷をかけない優秀なエシカルフードでもあることをご存知だろうか。手のひらに乗るピーナッツを育てるのに必要な水量は約17.8L。同じ質量を育てる場合、牛肉は402L、ヒヨコマメは287Lと、必要な水量に歴然たる差がある。水資源が少ない地域でも育てることができるので発展途上国でも生産が伸び、栄養失調の治療食の材料としても使われている。また、生産過程や農場出荷後の二酸化炭素排出量も少なく、ピーナッツ栽培は雇用創出にもつながっている。

アメリカ産ピーナッツの活用方法

ピーナッツは、タイやベトナムなどのエスニック料理では欠かせない食材だが、和食との親和性も実は高い。味噌との相性が抜群なほか、細かく砕いてゴマ代わりに、ピーナッツバターを鍋や汁ものへ加えれば味に深みとコクが出て素材の風味が増す。また、含まれる良質な脂の作用で、ピーナッツを食べると0.8℃近く体温を上げることも分かっている。寒くなるこれからの時期に積極的に取り入れたい食材だ。

ピーナッツバターは鍋やスープ、プラントベース料理のアクセントにも。
ピーナッツバターは鍋やスープ、プラントベース料理のアクセントにも。
アメリカンピーナッツ協会

アメリカンピーナッツ協会
https://peanutsusa.jp

アメリカのピーナッツ産業の長期的成長を支援するため設立。アメリカ産ピーナッツの品質管理や国際的な消費促進、生産・加工に関する研究促進を使命に、国内外でのマーケティング、PR活動、顧客サービス、研究を行う。

text: Yuki Kimishima

本記事は雑誌料理王国319号(2021年12月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は319号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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