～大分県竹田市120年の取組み～　TAKETAサフラン物語り

2022年3月7日 #フランス料理, 調味料・スパイス, 食材

大分県の内陸部、阿蘇くじゅう国立公園の麓に位置する竹田市。中心部には城下町の古い街並みがあるほか、雄大な自然の風景を誇る久住高原、名湯で知られる長湯温泉など、多彩な表情を見せる。自然と歴史の両方を楽しめる観光地としても人気を集めるエリアだ。

美しい里山、そして歴史ある風景は竹田の魅力。街の外に車を走らせれば広大な緑のパノラマが美しい久住高原が広がり、九州登山のメッカであるくじゅう連山がそびえる。炭酸温泉が心身の疲れを癒す長湯温泉も人気だ。また竹田には周囲の山系の伏流水が多く湧き出ており、名水のふるさととしても知られている。

大分県竹田市の「TAKETAサフラン」。摘み取られた赤いサフラン。 — TAKETAサフランは海外のものより色が濃く、太さも大きさもある。

「TAKETAサフラン」サフランの花一つずつから、3本ある真紅のめしべを抜き取っている。 — サフランの花一つずつから、3本ある真紅のめしべを抜き取る。

「TAKETAサフラン」1月上旬に一気に咲くサフランの花。一つずつ茎から取り外している。 — 11月上旬に一気に咲くサフランの花。一つずつ茎から取り外す。

「TAKETAサフラン」めしべを採り終えたサフランの球根を、11月下旬に田んぼに植えている。 — めしべを採り終えたサフランの球根は、11月下旬に田んぼに植える。

国内サフラン生産量の８割を担う

竹田市におけるサフラン栽培は、明治36（1903）年に遡る。この地出身の吉良文平氏が神奈川県から球根を取り寄せて、これを室内栽培する農法を編み出したのだ。この栽培方法は全国に広まり、日本におけるサフラン栽培の発展に大きく寄与した。そんな中でも竹田市は、現在、日本のサフランの８割を産出。竹田のサフランは日本一の量、そして質でも高く評価されている。

「TAKETAサフラン」クロッカスの仲間であるサフランが淡紫色の花を咲かせる。 — サフランはクロッカスの仲間。球根から伸び、淡紫色の花を咲かせる。

サフランの開花時期である11月上旬になると、サフラン農家は毎日早朝にその日に咲いた花を摘む。そして同じ日のうちに、花から３本のめしべを抜き取る。この時、めしべの根元に時折ある黄色い部分は除いて抜くのがポイント。これは色や香りのもとである真紅の部分のみを製品とするため。こうした細やかな配慮が、竹田のサフランの質の信用につながっている。

「オテル・ドゥ・ミクニ」の三國シェフが「TAKETAサフラン」を使って調理している。

TAKETAサフランの魅力に惹かれたシェフ「オテル・ドゥ・ミクニ」三國清三さん。TAKETAサフランを使ってすぐ、その品質の高さに驚いたという。「まず、形からして立派でしょう？　大きさも太さもあり、一本ずつがしっかりしている」と三國さん。そんな竹田産サフランからは、色も香りも豊かに出ると話す。ここからは、三國シェフによる、TAKETAサフランの魅力を最大限に引き出すレシピをご紹介する。