豊かな風土と歴史が育んだグラナ・パダーノ PDO。現地の料理人たちは、このチーズをどんな一皿へと昇華させているのか。2回目となる今回は、イタリア滞在中に巡った現地のレストランを紹介する。

ミラノ郊外コルナレードにある「オルモ(Olmo)」は、イタリア料理界を牽引するダヴィデ・オルダーニ氏のレストランだ。広場を隔てた向かいには、同氏が手掛ける「最も予約のとれないレストランのひとつ」として知られる「ディーオー(D’O)」がある。

オルダーニ氏が掲げるのは、上質な地元の旬食材を誰もが手の届く価格で提供する「クチーナ・ポップ」という哲学。この日は、その理念が息づくテーブルで、グラナ・パダーノPDOと地元食材が美しく調和した珠玉のランチコースを堪能した。







スイーツやパン、グリッシーニに至るまで、すべてが自家製。さらに、店内の照明やカトラリーまでもオリジナルでデザインされ、細部に宿る徹底したこだわりが空間全体の体験を高めていた。
地元の旬の食材が、シェフの手仕事によって未知なる一皿へと姿を変える。その味わいはもちろんのこと、随所に散りばめられた遊び心あふれる仕掛けに、食べるのが惜しくなってしまうほど。テーブルには常に、心躍る温かな驚きが満ちていた。

ガルダ湖畔の街デゼンツァーノ・デル・ガルダに佇む「オステリア・アッラ・トッレ(Osteria Alla Torre)」は、すぐそばにはサン・マルティーノの塔がそびえ立ち、目の前にぶどう畑が広がるという美しいロケーションに位置している。
オステリアならではの気取らない温かなサービスと活気にあふれる店内で、今回はグラナ・パダーノPDOを用いた多彩な料理とともに、目の前で繰り広げられる調理のライブ感を堪能した。



そして、同店の代名詞ともいえる名物メニューが「テーブルサイドで仕立てる、牛フィレ肉の特製タルタル」だ。新鮮な牛フィレ肉をナイフで細かく手切りし、ハーブやスパイスとともに目の前で仕上げてくれる。


日本ではなかなか味わう機会の少ない牛肉のタルタルは、赤身肉本来のフレッシュな甘みとコク、そしてとろけるようにまろやかな味わい。地元の赤ワインとの相性が抜群だったことは、言うまでもない。

シルミオーネに位置するミシュラン一つ星「ラ・スペランジーナ・レストラン(La Speranzina Restaurant)」は、同店を初のミシュラン一つ星へと導いた前シェフ、ファブリツィオ・モルテーニ氏からバトンを受け、2024年より気鋭のデルフォ・スキアッフィーノ氏が新たに厨房を引き継いだ名店だ。
「料理はストーリーテリング」と語るスキアッフィーノ氏の言葉どおり、どの一皿も芸術的な美しさにあふれていた。






セラーには数千本もの希少なヴィンテージワインが静かに眠っている。湖面の絶景を眺めながら味わう極上のチーズとワインのペアリングは、ヨーロッパの食文化の奥深い豊かさを象徴していた。
第1回 ヨーロッパNo.1のPDO製品「グラナ・パダーノPDO」現地取材
Text:Sachiko Minowa photo:Masami Murao
