1987年の第一回大会以降、2年に1度フランス・リヨンで開催されている世界最高峰のフランス料理コンクール「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」。大陸別予選を勝ち抜いた24カ国の代表チームがその頂点を目指し戦いを繰り広げた。アジア予選首位で参加した日本の奮闘も含め、その様子をレポート。

二年に一度開催されるシラ国際外食産業見本市。会場一角のアリーナで1月26・27日の2日間にわたり、「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」が行われた。24カ国が競い合うコンクールはスポーツでの五輪同様、国を代表するチームが戦う。チーム構成はコーチ一人、シェフ一人、コミ一人、そして抽選でわり当てられる現地のコミが一人。課題は毎回異なり、食材もフランスに来てから初めて手にする。機材も同様だ。
今大会の課題は魚と肉で、魚は4時間40分の制限時間内にセロリ、ストーン・バス(大西洋の白身魚)、ロブスターを主役にした「アシエット(銘々盛り)」を完成させる。肉は5時間30分でプラッター(大皿)に盛り付けてから皿にサーブする。鹿、フォアグラ、お茶と自国のフルーツを使い各国のアイデンティティを表現することが求められた。
競技終了後、結果発表を前に会場は熱気に満ちていた。やがて優勝チーム名の入った封筒を開けたジェローム・ボキューズ氏がニヤリと笑みを見せ「レジスの次はポールだ!」と叫ぶと、会場は歓喜に包まれた。

「今日はフランスの料理人、そして未来の料理人達の目を輝かせられたことを願っています。僕の目標は名を売ることではなく、ただひたすら子どもの頃からの夢を叶えること、そして、フランスに9度目の栄光をもたらすことだけでした」と、28歳のフランス代表シェフ、ポール・マルコン氏は喜びを語った。「最優秀コミ」に選ばれたカミーユ・ピゴ氏も22歳の若さだ。
「すべてが研ぎ澄まされ、清潔で、完璧だった」。2021年の優勝者であり、同大会の国際組織委員会会長を務めるダヴィ・ティソシェフはフランスチームの作品を絶賛。また、試食審査員を務めた関谷健一朗シェフも「フランスチームの料理を口にした時『これだ!』と思い、心が踊りました。ダントツにおいしかったですね」と評した。フランスが優勝した背景には、国が介入し美食文化の維持を標榜する政策もある。強敵である北欧は20年以上前から政府がサポートに力を入れてきたが、フランスも2021年にマクロン大統領が未来の料理界チャンピオンを育成するための「卓越センター」をリヨン近郊のエキュリー市に設立することを発表。同地域圏はこのプロジェクトに2500万ユーロを投資する計画だ。









今回、日本は11位に終わったが、魚は4位、肉が13位だった。日本の問題はまず、国内の候補者が少ないこと。日本での認知度が低いため、レストランのシェフにとっては2年間商売を犠牲にして特訓をしても見返りがない。スポンサーも同様だ。アメリカが唯一優勝した2017年にはアメリカベストシェフと言われるトマス・ケラーがプレジデントを務め、米国有力者を掻き立て多大な額を投資させたと言われる。もちろん、選手自身が伝統フランス料理を十分理解していることが最も重要なのは言うまでもない。こうした弱点をいかに克服できるかが、2年後の挑戦の行方を左右するだろう。


本戦結果
1位 フランス
2位 デンマーク
3位 スウエーデン
4位 ノルウェー
5位 イギリス
6位 シンガポール
7位 アメリカ
8位 アイスランド
9位 イタリア
10位 カナダ
11位 日本
12位 フィンランド
13位 ハンガリー
14位 ラトビア
15位 スロバキア
16位 オーストラリア
17位 メキシコ
18位 チリ
19位 モーリシャス
20位 ニュージーランド
21位 ベトナム
22位 コロンビア
23位 中国
24位 モロッコ
text:Chihiro Masui 取材協力:一般社団法人ボキューズ・ドールJAPAN
