AI(Artificial Intelligence:人工知能)は、様々なシーンで活用されている。ここでは身近な実例から、いつかガストロノミーに応用される可能性までを紹介する。
「無人化」の枠組みでカフェを捉え直す
待ち時間ゼロで、豆から挽いたスペシャルティコーヒーを受け取りたい。そんなニーズに応えるべく、 現在、ローンチに向けて最終段階なのがAIカフェロボット「root C(ルートシー)」だ。手がけているのは、高校在学中の2018年に株式会社New Innovations(https://newinov.com/)を設立した、中尾渓人氏。子供のころからロボット作りに没頭し、14歳で『RoboCup Junior』世界大会にて入賞、15歳から開始したシステム開発事業で取引先が300を超え、会社のビジョンは「あらゆる業界を無人化する」という、まさにロボティクスの申し子。しかし、この「無人化」は、「人から仕事を奪うことではない」と中尾氏はいう。「『ヒューマン トゥ ヒューマン』 のコミュニケーションが発生するところに人間のリソースを解放したい。ロボットと人間の協調の半歩先いくことが狙いです」。AIの診断により自分好みのコーヒーが飲める「root C」はあくまでもその一歩。今後は固形食品も扱いたいと夢を拡げている。
食店にとって、AIのありがたみを直接的に感じられるのは、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point=危害分析重要管理点)に基づいた衛生管理の記録をこなしてくれるAI音声対話形式の「AmiVoice CSE(Conversational Smart Entry) for HACCP」(株式会社アドバンスト・メディア)のようなアプリケーションだろう。2020年6月の改正食品衛生法施行により食品関連事業者に対して求められるHACCPにおいては、食品加工や調理上の重要な温度や消毒などの記録が重要。煩雑な作業だが、専用のハンズフリーマイクデバイス「AmiVoice Front WT01」を使用し、AIを利用した対話形式なら、音声ガイダンスに声で返答すれば非接触で記録が可能だ。飲食店の身近なシーンにもAIは役立っている。
text 浅井直子
本記事は雑誌料理王国2020年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。