断面の美しさに見とれる神戸牛のアンクルートでは、スライスしたフレッシュオータムトリュフとともにエクラドトリュフとシャンピニオンのデュクセルを合わせることでキノコの旨みを強調した。
少し甘酸っぱい味わいのマデラソースには、トリュフジュースを加えて風味豊かに。トリュフジュースはシーズン最盛期のフランス産黒トリュフを使用しているため、非常に繊細な風味が楽しめる。「トリュフ本来の香りが強く生きていて、味わいが凝縮されていますね」と土肥シェフも絶賛。ガルニチュールのほうれん草にはバトン状にカットしたフレッシュオータムトリュフで香りと食感の楽しさを添える。
今やフレンチやイタリアンなど西洋料理だけでなく、日本料理のシェフたちも好んで用いるようになったトリュフ。出汁や卵、米料理などとも相性が良く、幅広い用途に使えるトリュフは可能性を秘めた食材としてシェフたちの創作意欲をかきたててやまない。
オマールブルーのブーダン生ハムのコンソメ ×
「クロ・ド・ラ・クレ・ド・セラン」(二コラ・ジョリー)
熟成からくる微かなナッツ香やみたらし団子のような甘さを連想させるボリューム。組み合わせによる圧倒的な旨みと香りの料理をしっかりと受け止めてくれる。
坊勢鯖のフュメとフォアグラ×
「シ・ローズ 18 & 19」(クリスチャン・ビネール)
バラを連想させる華やかな香りやプラム、黄桃のような果実味が鯖とフォアグラを繋げる。微かなタンニンと酸味が口内をリセット、次のひとくちを美味しく迎えてくれる。
神戸牛フィレ肉のアンクルート×
「バルバレスコ・ガイウン・マルティネンガ」(マルケージ・ディ・グレーシー)
熟成したネッビオーロにはキノコやカシスの香りが複雑に絡み合う。神戸牛の豊かな旨み、トリュフ、マデラソースの組み合わせに最高の1本。
フレッシュオータムトリュフ(ウンチナタタム種/今回はイタリア産)100g
ボードワン ブリジュールトリュフ(フランス産)50g
べロール エクラ ド トリュフ(フランス産)50g
べロール トリュフジュース(フランス産)200g
ボードワン トリュフ アロマ ノワール(フランス産)250ml
土肥秀幸さんは、辻調理師専門学校、同フランス校を卒業後、ザ・リッツ・カールトン大阪「ラ・べ」をはじめとする名店で経験を積み、2013年、神戸・北野の白亜の洋館「ラ メゾン ドゥ グラシアニ神戸北野」の副料理長に迎えられ、2018年に同店のシェフに就任。ソムリエの資格も持っている。
ラメゾン ドゥ グラシアニ 神戸北野
兵庫県神戸市中央区北野町4-8-1
TEL.078-200-6031
12:00~14:00LO、18:00~21:00LO
月休(祝日の場合は火休)
text: Shoko Yamauchi photo:Katsuo Takashima
本記事は雑誌料理王国319号(2021年12月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は319号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは、現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。