「実家が30年間ステーキハウスを営んでおり、地元滋賀県の近江牛専門店『安田良』の純近江牛をずっと扱っていたんです。なので、純近江牛は幼い頃から慣れ親しんだ味です」と高橋望シェフ。
だから、15年前に開店した時、迷わず純近江牛を使った料理をスペシャリテのひと皿にした。
近江牛の中でも〝純〞にこだわるのは、何より藁を燻した時に感じる薫り。肉が含む脂の甘味も他の肉とは断然違う。ランクは敢えて4等級を仕入れる。5等級になると、脂がのりすぎて重たく感じるから。
最初にサーロインのブロックを一面ずつグリルをした後、オーブンで温めておいた藁に包み、15分から20分休ませる。再度グリルしフランベして仕上げる。
近江肉だけでなく、全ての食材と真摯に向き合う。それが、20代後半にフランスのレストランで修業した経験から得た答えだから。
「修業先は、バスが1日に1往復しかない村にありましたが、素材の使いこなしが実に上手いんです。ひと言でいうならシンプルで合理的。食材を生み出す生産者の志や、思いを尊重する姿勢を学びました」
良質な食材を活かした自慢のひと皿にも、志と姿勢が息づいている。
ビストロ エルジノ
BISTRO EL GINO
京都市中京区河原町御池東入ル一之船入町 537-31
075-213-3932
● 12:00~14:00LO 17:30~21:00LO
● 月、月1回不定休
● 20席
www.elgino.com
飯塚真里=取材、文 畑中勝如=撮影
本記事は雑誌料理王国第245号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第245号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。