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レシピ付き!京都バル「ベジョータ・ムチョ」の鶏肉の煮込み


京町家を改装。昔からそこにあったように町に馴染むバル

 オーナーの植本寿一さんが「ベジョータ」をオープンしたのは2009年。一級イベリコ豚の生ハム・ベジョータの味に感動し、その3日後にいきなり渡航した。スペインで〝本物の〞バルを体験、これを再現しようという強い思いに突き動かされた。開店はなんとその翌月。調理経験はそれまでの数カ月のみという、見切り発車に等しいスタートだった。

店ごとにテーマは異なるがバルとしての在り方は共通

「料理どころか生ハムのカットすらヘタで、お客さんに随分怒られました。営業しながら進化すればいいと思っていたんです。ありがたいことに『仕方ないなあ、また来るわ』というお客さんに育てていただきました」と植本さん。努力の甲斐あって翌年には2店目となる「ムチョ」を、その翌年には3店目をオープン、現在すべてが繁盛の好調ぶりだ。

天井からズラリと吊るした生ハムはトレードマーク。開業当初、資金不足で揃えられなかったところを業者の好意で前借りさせてもらい、1本下ろす度に支払っていた。お客も1本10万円でキープできるが、未だ購入者はゼロだそう。

「ベジョータ」は店舗ごとに明確なテーマを定めている。1店目は、とにかく京都で一番おいしい生ハムを出す店、3店目は植本さん自ら福井県の敦賀港まで買出しに出かける魚介中心の店。そしてここ「ムチョ」は2階席まである広めのバール兼食堂で、郷土料理に力を入れた店。築約100年の京町家を改装し、建築家には「昔からそこにあったようなイメージで」と注文をした。
「スペインすぎると町から浮いてしまいますから。小さな町に明かりを灯す、現地でのバルの在り方に倣いたいんです」と植本さんは言う。
 3年の間には信頼できる料理人も増え、文句を言われることはなくなった。外に面したショーケースにタパスが並ぶ風景に魅せられて、付近の住民が帰りにふらりと立ち寄る「正しいバル」は、今夜も活気に満ちている。

【レシピ】鶏肉の煮込み カタルーニャ風

トマトや玉ネギのソースにドライフルーツの甘さとナッツのコクが深みを与えている

材料(4~5人分)

鶏…1羽(1.6~1.8kg)/塩、コショウ、オリーブオイル…各適量/タマネギ…1/2個/トマト…中2個/A(松の実…40g、レーズン…75g、ドライプルーン…150g)/ 水 …500cc/B(アーモンド…25g、松の実…10g、マリービスケット…2枚、白ワイン…50cc)

付け合わせ ブロッコリー…3~4房/バゲット…3~4枚

作り方

  1. 鶏をさばき、ささみはそのまま、手羽は先と元に分け、胸とももは4切にカットする。すべてに塩、コショウをふる。
  2. オリーブオイルを熱したフライパンに1を入れ、焼き目をつけて鍋に入れる。
  3. Aをフライパンで炒めて鍋に入れる。
  4. フライパンにオリーブオイルを熱し、粗みじんに切ったタマネギを軽く炒めたら、粗みじんに切ったトマトを加えてさらに炒め、火が通ったら鍋に入れる。フライパンに水を入れて旨味を移したら、こちらも鍋に加える。
  5. 鍋を火にかけ、沸騰したら弱火にして約20分煮込む。
  6. Bをミルサーにかけて鍋に混ぜる。蓋をしてさらに10分煮る。塩、コショウで味をととのえる。
  7. 全体量の1/4~1/5ぐらいを部位が偏らないようバランスよくカスエラに移し、温めてから、色よく別ゆでしたブロッコリーとパンを添える。

BELLOTA mucho ベジョータ ムチョ
京都市下京区仏光寺通室町西入ル糸屋町228
075-351-5826
17:00~翌3:00LO
● 不定休
● 40席
www.bellota.jp


藤田アキ=取材、文 竹中稔彦=撮影

本記事は雑誌料理王国第222号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第222号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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