野菜やハーブをふんだんに使うタイ料理は、プラントベースと相性が良さそうに思える。一方で、ナンプラーやカピなど、動物性の発酵調味料をよく使う料理でもある。そこはどう捉えればいいのか。「確かにそれらを使うと味がまとまりやすいですが、使わないなら使わないで、おいしいタイ料理として充分に成立します」と話すのが、渋谷のタイ料理店「CHOMPOO」の森枝幹氏だ。
今回教えてもらったのは、同店シェフ・ギャップ氏の故郷である、タイ北部・チ ェンマイの田舎料理をベースにした3品。ナンプラーやカピは抜いているが、確かに物足りなさは一切感じず、しっかりタイ料理の味わいになっている。ナンプリック・ヌムは万願寺とうがらの甘みとにんにくの風味が立ち、ナンプリック・カーは石臼ですり潰した生姜が鮮烈に香る一品。それを、明日葉やモロヘイヤなど緑の野菜がハーブのごとく香るゲーン・オーンパッと共に食べ進める。「うま味を分厚くしない方が、素材そのもののおいしさを感じやすいし、食べ疲れもしません。自分も家での食事は、こうしたシンプルな味付けのものをよく食べています」
トムヤムクンやガパオ炒めなどの日本でよく知られるタイ料理とは趣が違うけど、素朴で野趣に富む。そして、食材のおいしさや鮮やかな香りを楽しむといった “ タイ料理の粋 ” のようなものを、存分に味わえる。日常的に食べたい・作りたいと思わせる、新鮮な感覚のタイ料理だ。
香り高い緑葉をごった煮に
賀茂なす……1個
モロヘイヤ……80g
明日葉……80g
水菜……80g
にんにく……25g
赤唐辛子……少々
玉ねぎ……1/4個
タイム……1/3 ~1個
塩……適宜
砂糖……適宜
水……800cc
素材の甘味がごはんに合う
万願寺唐辛子……10本
にんにく……80g
パクチーの根……少々
塩……適宜
すりつぶした生姜のアロマ
しょうが……100g
赤玉ねぎ……30g
パクチーの根……10g
小ぶりの青唐辛子……3本
にんにく……50g
コリアンダーシード……3g
塩……ひとつまみ
text 田嶋章博 photo よねくらりょう
本記事は雑誌料理王国2020年10月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は 2020年10月号 発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。