【若手シェフ4人の一汁一菜】CHOMPOO 森枝幹さん&GAPさん


魚醤を使わない、毎日食べたいタイ料理。

野菜やハーブをふんだんに使うタイ料理は、プラントベースと相性が良さそうに思える。一方で、ナンプラーやカピなど、動物性の発酵調味料をよく使う料理でもある。そこはどう捉えればいいのか。「確かにそれらを使うと味がまとまりやすいですが、使わないなら使わないで、おいしいタイ料理として充分に成立します」と話すのが、渋谷のタイ料理店「CHOMPOO」の森枝幹氏だ。

今回教えてもらったのは、同店シェフ・ギャップ氏の故郷である、タイ北部・チ ェンマイの田舎料理をベースにした3品。ナンプラーやカピは抜いているが、確かに物足りなさは一切感じず、しっかりタイ料理の味わいになっている。ナンプリック・ヌムは万願寺とうがらの甘みとにんにくの風味が立ち、ナンプリック・カーは石臼ですり潰した生姜が鮮烈に香る一品。それを、明日葉やモロヘイヤなど緑の野菜がハーブのごとく香るゲーン・オーンパッと共に食べ進める。「うま味を分厚くしない方が、素材そのもののおいしさを感じやすいし、食べ疲れもしません。自分も家での食事は、こうしたシンプルな味付けのものをよく食べています」

トムヤムクンやガパオ炒めなどの日本でよく知られるタイ料理とは趣が違うけど、素朴で野趣に富む。そして、食材のおいしさや鮮やかな香りを楽しむといった “ タイ料理の粋 ” のようなものを、存分に味わえる。日常的に食べたい・作りたいと思わせる、新鮮な感覚のタイ料理だ。

【レシピ】ゲーン・オーンパッ

香り高い緑葉をごった煮に

材料(4人前)

賀茂なす……1個
モロヘイヤ……80g
明日葉……80g
水菜……80g
にんにく……25g
赤唐辛子……少々
玉ねぎ……1/4個
タイム……1/3 ~1個
塩……適宜
砂糖……適宜
水……800cc

作り方

  1. 賀茂なすをひと口大に、モロヘイヤ、水菜、明日葉も食べやすい大きさに切る。
  2. みじん切りにした玉ねぎ、にんにく、赤唐辛子を石臼ですり潰し、ライムの絞り汁を加えて混ぜる。
  3. 鍋に800ccのお湯を沸かし、水菜以外の野菜と2を入れ、塩、砂糖で味をととのえ、野菜がしんなりするまで煮込む。
  4. 器に盛り付け、水菜を添える。

【レシピ】ナンプリック・ヌム

素材の甘味がごはんに合う

材料(作りやすい量)

万願寺唐辛子……10本
にんにく……80g
パクチーの根……少々
塩……適宜

作り方

  1. 万願寺唐辛子、にんにく、パクチーの根を表面に焦げ目がつくまでグリルする。
  2. 1を潰しやすい大きさに切り、石臼ですり潰しながら塩を加えて味をととのえ、ペースト状にする。

【レシピ】ナンプリック・カー(しょうがVer.)

すりつぶした生姜のアロマ

材料(作りやすい量)

しょうが……100g
赤玉ねぎ……30g
パクチーの根……10g
小ぶりの青唐辛子……3本
にんにく……50g
コリアンダーシード……3g
塩……ひとつまみ

作り方

  1. パクチーの根、赤唐辛子を表面に焦げ目がつくまでグリルする。
  2. 1と、赤玉ねぎ、しょうがを石臼ですり潰しやすい大きさに切る。
  3. フライパンにコリアンダーを入れ火にかけ、香りがたつまで煎る
  4. 2と3を石臼に入れて潰し、ペースト状にする。

text 田嶋章博 photo よねくらりょう

本記事は雑誌料理王国2020年10月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は 2020年10月号 発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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