丁寧に作った、愛を感じるイタリア料理。いつも賑わっています。定番の旨さにプラスワンの独創性、スポット的な料理には現代風のアレンジをと、若き料理人の才能を感じずにはいられません。
シェフの青木勇司郎さんは「基本は、イタリアでの味の記憶をいかに忠実に表現できるか」だと言う。
和食は薄味に始まり徐々に濃い味へとシフトしていくが、イタリア料理は「目をつぶって食べても、ひと口目からパーンと旨みが伝わる。そういう味覚の構成なんです」と。
確かに写真のパスタ料理も、終始一貫パンチの効いた濃厚な肉の旨みが押し寄せてくる。強烈な旨みこそ青木さんの思うイタリアらしさ。
そのためには徹底した仕込みが不可欠だ。ソースは和牛のブラザート。
現地ではメイン料理として肉の塊を煮込んだブラザートの残りを、翌日にパスタソースとして使うことが多い。現地に忠実にと考えるから、青木さんはこのパスタ用のブラザートを「2日目の味」を目指して仕込む。
現地のレシピを忠実に伝えるシェフは多いが、青木さんは目線をさらに先へと向けて、2日目の味というリアルさを追求。細部へのこだわりが、食べ手を唸らせる。青木さんの料理が、プロの心を掴む所以だ。
前菜からメインまで、万事においてマニアックかつストイックにクオリティーを追求するワインとイタリアンの店。仕込みに時間をかける意志こそが、食べ手に感動を与える。
和牛のブラザート ピチ
バーニャカウダ
和牛のたたきと牡蠣のタルタル
本椎茸のオイルソース トリュフ タヤリン
佐賀県産イノシシとフォアグラのパイ包み
マルスーレ プロセッコ(イタリア・ヴェネト )
カルミニャーノ テッレ アマーノ(イタリア・トスカーナ )
サグランティーノ ディ モンテファルコ(イタリア・ウンヴリア )
バローロʼ09(イタリア・ピエモンテ )
アンセルミ(イタリア・ヴェネト )
材料(作りやすい分量)
タマネギ…2個/ニンジン…1本/セロリ…3本/オリーブオイル、岩塩…各適量/トマトの水煮(ホール)…200ℊ/和牛(ネック、中落ち、ホホ、ランプなど)…1㎏/赤ワイン…300㏄/マルサラ酒…100㏄/水…適量/A【セージ…1本/マジョラム…2本/ローズマリー…2本/ローリエ、タイム、ジェニファーベリー、丁子…各適量】/生ハムの皮、パルミジャーノチーズの皮…各適量/白インゲン豆のペースト…大さじ2
ピチ(作りやすい分量)
強力粉(タイプ00)…500ℊ/強力粉(カメリア)…500ℊ/水…500㏄(湿度に応じて調整)
仕上げ
ピチ…94ℊ/和牛のブラザード…145ℊ/コショウ、パルミジャーノチーズ、ニンニクオイル、鷹の爪オイル(お好みで)…各適量
作り方
1. 和牛のブラザードを作る。タマネギ、ニンジン、セロリをそれぞれみじん切りにする。鍋にオリーブオイルと岩塩を入れて火にかけ、野菜を炒める。野菜に火が入ったら、つぶしたホールトマトを加えて煮つめる。
2. 和牛の各部位は適当な大きさに切る(大きさにバラツキがある方が味がよいのでランダムに大小の差が出るように切る)。フライパンにオリーブオイルを注ぎ、岩塩を敷きつめて肉をのせ、さらに上から岩塩をかける。強火で焦げ目がつく程度に表面を焼く。
3. 1の鍋に2を入れて赤ワイン、マルサラ酒を注ぎ、煮込む。ジャムのようなねっとりした状態になったら、ひたひたの水を注いで強火で沸かし、沸騰したらあくを取る。材料Aをだしパックに入れて、鍋に入れる。生ハムの皮、パルミジャーノチーズの皮、白インゲン豆のペーストを入れて蓋をしてごく弱火で肉に串がすっと通るようになるまで、約 6 時間煮込み、ひと晩おく。翌日鍋から大きい肉塊だけを取り出し、食べやすい大きさにカットして戻す。
4.ピチを作る。材料をボウルに入れてツヤが出るまで練る。ラップで密封してひと晩冷蔵庫で休ませる。翌日風をあて乾燥させながらパスタマシンで伸ばして切る。円柱状になるように成型し、みぞができるように指で軽く押しつぶす。
5. 仕上げをする。フライパンに和牛のブラザードを入れて火にかけ、お好みでコショウ、パルミジャーノチーズ、ニンニクオイル、鷹の爪オイルで味をととのえる。ゆでたピチを加えてからめる。
チッチャ
Ciccia
兵庫県神戸市中央区加納町3-11-2 奥田ビル1F
078-272-2662
● 17:30~23:00(22:30LO)
●日、月一回不定休
● 15席
三好彩子=取材、文 山田絵理=撮影
本記事は雑誌料理王国第200号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第200号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。