平野部が多いプーリア州は自然豊かな土地で、野菜が豊富に収穫される。酪農も盛んで、牛や羊のチーズのほか、オリーブオイルの産地としても知られている。このプーリア州にある小さな村・モンテグロッソにある「アンティキ・サポーリ」で修業し、現地の味を再現するのが山崎大輔さんだ。
東京・広尾の「アンティキ・サポーリ」は、内外装資材や皿までも現地から運び入れ、本店の雰囲気を再現。そこには「その土地で食べるからこそ、おいしく感じられる。だから現地の空気感を大切にしたい」との想いが込められている。
プーリア料理は、野菜やチーズを使った前菜が食べきれないほど提供されるのが特徴。そのため、パスタは食事の締めとして食すことが多い。
今回紹介し作ってもらった「焦がし小麦のオレッキエッテ」は、プーリアの山間部で使われる「焦がし小麦」を小麦粉にブレンド。これにより、小麦の香ばしさを表現する。
また、パスタはパスタづくりができるスタッフ全員で手づくりする。「修業先でもスタッフ皆でパスタを手づくりしていました。指の大きさ、力加減は人それぞれ違う。それが口の中に入れたときのさまざまな食感を生みます」
パスタソースは野菜の根や芯までをピュレ状にしたものや、ソーセージ、サラミなどの肉の加工品を使うのが主流。品質が高い素材が採れるため、野菜そのものの滋味深い味わいを感じられるものが多い。
現地の味を再現するため、オリーブオイルやチーズ、乾物、穀物類などはすべて現地より輸入。一方で生鮮品である野菜は、プーリアから持ってきた種を、栃木の契約農家に栽培してもらっている。パスタは本店でも使用している小麦粉と、プーリア産ミネラルウォーターで自家製。本店と同じ材料を使うことで、本店の味を遵守し、プーリア料理の伝統を日本に普及している。
焦がし小麦の自家製オレッキエッテ
燻製サルシッチャと焼き葱のトマトソース
ザラザラとした表面にソースが絡み、裏側のくぼみにソースが残る形状。焦がし小麦を加えることで、小麦の香ばしさを感じることができる。ソースはサルシッチャを燻製にし、トマト、ニンニク、ペコリーノ・ロマーノで調味する。
たとえばチーマデラーパ(西洋菜の花)をゆで、ペーストにするなど、プーリアでは野菜の旨味を凝縮させたソースが主流。またオリーブオイルを多用するが、プーリア本店オリジナルのオリーブオイルは香りがよく、油分の主張が控えめなため、日本人の口にも合いやすいことから、同店でも輸入して使っている。
山崎大輔 Daisuke Yamazaki
1976年神奈川県生まれ。ヴェネト州やプーリア州でイタリアの郷土料理を学び、2011年に在日イタリア商工会議所主催のイタリア料理コンクールで優勝を果たす。東京・新宿の「イル・バカーロ」などの料理長を経て現職。
アンティキ・サポーリ
Antichi Sapori
東京都港区南麻布5-2-40 日興パレス 1F
☎03-6277-2073
● 11:30~15:30(14:30LO)
18:00~23:00(22:00LO)
● 元旦休
●コース 昼2750円~
夜4600円~(サービス料500円)
● 90席
本記事は雑誌料理王国288号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は288号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。