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「傳」長谷川さんがインスパイヤされた世界のレストラン5店


長谷川在佑さんは、国内外のシェフとの交流を通じて刺激を受けてきた。長谷川さんが普段から親交を深め、ポップアップイベントなどでコラボしてきたレストランの中から、「世界から人を呼ぶ店」を挙げていただき、そこから得たインスピレーションやヒントを語っていただいた。

【東京・外苑前】フロリレージュ florilegé

「日本ならでは、僕ならではの料理感を重要視し、海外のお客さまから見て『この店は違う』と感じとってもらえるような工夫はしています」
 そう語るのは、2016年、「アジアのベストレストラン50」の「注目のレストラン賞」を受賞した「フロリレージュ」のオーナーシェフ川手寛康さんだ。

2016年「アジアのベストレストラン50」の授賞式会場で。「傳」は37位、「フロリレー
ジュ」は「注目のレストラン賞」を受賞した。
写真/Asiaʼs 50 Best Restaurants 2016, sponsored by S.Pellegrino & Acqua Panna.

軸を「日本」に据え和を意識した料理に替えた

「フランスの真似をしてもしょうがない」と考え、2015年3月に神宮前に移転したのを契機に、それまで軸にしていた「フランス料理」から「日本」に重きを置くようになった。

 和食のような盛り付けを意識したり、料理も「日本の風情」を感じるようにした。外国人からは「フランス料理じゃなくて、イノベーティブな料理」と言われるようになった。結果的に、外国人が喜ぶ要因になったことは間違いない。

 外国人客の占める割合は2割程度。比率が多くなると「店の雰囲気作りが難しくなるから」と、外国人客の人数をコントロールしている。予約は基本的に電話だが、英語のサイトからはオンラインで予約ができるようになっている。現在はアジアの「注目のレストラン賞」を受賞した影響からか、海外の雑誌への露出が増え、それを見て予約してくる人が多いという。川手さん自身も、インスタグラムのコメントは英語で書くようになった。

 リピーター客が多いのもフロリレージュの特徴。週末は7~8割、平日も入れると平均して半数くらいがリピーターになる。
「個人データをしっかり取っているということはあると思います」

 そのゲストが何を食べ、飲んだのか、好きなもの、食べられないもの、左利きか右利きかなども書き留め、料理や接客に反映させている。
「それがお客さまの喜びに繋がっていればいいなと思います」

長谷川さんが得たヒント
レストランを始めた時期が近く、「一緒に夢を追ってやっていこう」と話し合った仲。共に成長していく、同志みたいな関係です。うちに来る海外のお客さまには、フロリレージュを紹介しています。移転したら店が近くなるので、今後もコラボなどしていきたいですね。

肉や野菜の切れ端を活用するなど、食材を無駄なくおいしく提供する川手さんの取り組みを表現したひと皿「、サスティナビリティー」。じゃがいものピュレに、しゃぶしゃぶ仕立ての牛の薄切りを盛って。
写真/依田佳子

フロリレージュ
florilegé
東京都渋谷区神宮前2-5-4 SEIZAN外苑 B1
03-6440-0878
● 12:00~13:30LO、18:30~20:00LO
● 水休、不定休
● 22席
www.aoyama-florilege.jp

【 オーストラリア・シドニー】セピア Sepia

2009年にオープンした、シドニーで最も予約困難なレストラン。イギリス出身のシェフ、マーティン・ベン氏は、和久井哲也氏がオーナーのシドニーの名店、「Tetsuyaʻs(テツヤズ)」でヘッドシェフを務めた実力の持ち主。和久井氏から学んだテクニックなどを活かし、日本料理に独自の世界観を融合させたフュージョン料理を提供している。

調味料には、味噌、白醤油、七味、わさびなども多用。斬新で独創的な、まるでアートのように美しい料理は高く評価され、オーストラリアのレストラン・オブ・ザ・イヤーを受賞したこともある。昨年は、今年「傳」が受賞した「世界のベストレストラン50」の「注目すべきレストラン賞」に輝くなど、今、飛ぶ鳥を落とす勢いのレストランだ。

長谷川さんが得たヒント
シェフのマーティンとサービスのヴィッキーを中心としたチーム力が素晴らしい。特に目を見張るのは、ヴィッキーのお客さまに対する気の遣い方。それぞれのお客さまが何を求めているかを判断する力が半端じゃないです。

ポーチされたイカに、フリーズドライの味噌と柚子のリングを添えて。

セピア Sepia
201 Sussex St. Sydney, NSW2000, Australia
+61-2-9283-1990
● 火~土18:00~ (金土は昼も営業12:00~)
● 日月休

【イタリア・ミラノ】コントラスト Contraste

ウルグアイ出身のマティアス・ペルドモ(左)とアルゼンチン出身のシモン・プレス。コンビを組んでかれこれ20年になる。

長谷川さんが得たヒント
マティアスが考えたものをシモンが作り上げるという、ふたりのシェフによるリストランテ。日本人には皿にミニチュアの番傘を飾るなど、相手のことを思う気持ちに長けたお店です。

コントラスト Contraste
Via Meda 2, Milano, Italia
+39-0249536597
● 19:00~23:00
● 火休
www.contrastemilano.it

【デンマーク・コペンハーゲン】ヒジャ・デ・サンチェス Hija de Sanchez

写真提供/長谷川在佑

コペンハーゲンでコラボした時の写真。誰からも愛されるキャラのオーナーシェフのロジオと。ロジオは世界中のシェフとコラボしている。

長谷川さんが得たヒント
「noma」のパティシエだったメキシコ生まれの女性、ロジオが、コペンハーゲンに出したテイクアウト専門のタコス屋さん。生まれ故郷の味を伝えたいという気持ちに感動です。

ヒジャ・デ・サンチェス Hija de Sanchez
Taqueria and maket Tarvehallerne, Frederiksborggade 21 Copenhagen, Denmark
+45-31185203
● 月~木12:00~19:00、金~20:00、土~18:00、日~17:00
● 定休日なし
www.hijadesanchez.dk

【イギリス・ロンドン】キッチン テーブル Kitchen Table

写真提供/長谷川在佑

ホットドッグ店の中を通って入る、異色の英国料理店。シェフのジェームズは、5人ほどいた「noma」のオープンスタッフのひとり。生産者とのつながりを大切にし、それらの食材を世に伝えることに使命感を持っている。写真は昨年のコラボ時のもの。

長谷川さんが得たヒント
ロンドンでは珍しいカウンターのみのお店です。コース料理が基本ですが、会話をしながら、お客さんに合わせて料理を作っていくスタイルをとっています。食材や調理法に対するシェフの探究心がとにかくすごい!

キッチンテーブル Kitchen Table
70 Charlotte St,Fitzrovia London W1T 4QG, England
+44-20-76377770
● 18:00~、19:30~
● 日月休
http://kitchentablelondon.co.uk


名須川ミサコ=取材、文

本記事は雑誌料理王国第265号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第265号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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