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教養としてのフランス料理 2 覚えておくとメニュー選びが楽しくなる フランス料理の火入れ用語ベスト10


「料理王国」 勝手にランキング

火入れ編

1 位 : ポワレ
2 位 : ブレゼ
3 位 : コンフィ
4 位 : ポシェ
5 位 : ロティ―ル
6 位 : フリール(フリット)
7 位 : ヴァプール
8 位 : グラティネ
9 位 : グリエ 
10 位 : ソテ
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次点 : スー・ヴィッド

1 位 【ポワレ】Poêlér           

私見だがとてもよく見る料理法。ふたつの意味がある。ひとつは素材を片面ずつ油脂で焼いたもののこと。ほとんどがこれ。フライパンのことをフランス語でポワールと呼び、ポワールで焼くことからそう呼ばれる。肉や魚の切り身をじっくりこんがり焼いていくイメージ。もうひとつはフライパンの蓋をして素材の水分だけで蒸し煮する方法。途中で水分を加えるとブレゼになってしまうから少々ややこしい。後者の意味は最近ではあまり見かけない。

2 位 【ブレゼ】Braiser

蒸し煮のこと。肉や魚、野菜にフォン(だし)などの水分を加え、蓋をして煮込むこと。ある程度の大きさの魚や肉の塊にひたひた程度の水分を加えて蓋をし、オーブンのなかでじっくりと時間をかけて煮込む。ローストやステーキに不向きな肩肉やすね、外もも肉、バラ肉などといったコラーゲンが多い固い部位にはぴったりの調理法で、とてもやわらかく仕上がる。キャベツなどの野菜もよくブレゼされるが、もちろん肉よりは加熱時間は短い。

3 位 【コンフィ】Confit

ビストロメニューの定番。油脂で加熱する料理法だが揚げるのではなく「煮る」料理だ。通常、揚げるというと油脂を180℃くらいにするが、コンフィは80℃くらい。鴨のコンフィに代表されるが、鶏や豚肉も多い。もも肉などを塩やスパイスでマリネし、脂で煮てそのまま漬け込んでおく。こうすると長期保存可。脂から取り出し、オーブンで焼き直して提供する。まわりはカリッと中は繊維にそってほぐれるような食感が独特。果物のシロップ煮の意も。

4 位 【ポシェ】Pocher  

水分のなかでゆでること。基本的には鍋を直火にかける。ただしゴボゴボ沸騰させず、沸騰より手前の温度で静かに素材に火を通していく。使う水分は水やフォン、クール・ブイヨン(下処理用の液体)など。卵をポシェしたものがポーチドエッグ。舌ビラメやカレイなどの白身魚にもよく使われる料理法で、少量のフュメ(魚でとっただし)でポシェされる。肉も、赤身肉ではなく鶏肉や仔牛、ウサギ肉などの白身の肉に施されることが多い。

5 位 【ロティール】Rôtir  

メニュー名にはたいてい過去分詞のロティと表記される。ローストすることだ。主流はオーブンで焼いたもの。薄切りではなくある程度の大きさをもった塊の肉や魚を焼く。フライパンでリソレ(表面をあらかじめ焼くこと)してからオーブンに入れるケースが多い。ここ数年、塊肉を炭火であぶり焼きにしたロティールも人気。炭火の遠赤外線は素材の表面のみに火が入るので、表面からの伝導熱でじわじわと中心部に熱が伝わり、うま味が出るとされる。

6 位 【フリール(フリット)】Frire  

材料をそのまま、または小麦粉やパン粉をつけ、140 ~ 180℃くらいに熱した油で揚げたもの。ビストロでおなじみの「ステーク・フリット」のフリットは略さずにいうとポム・フリット。つまりフライドポテトのことである。フリットの仲間で有名なものは「ベニエ」や「クロケット」。衣のつけ方がそれぞれの個性となり、前者は泡立てた卵やビールなどを入れて生地を膨らませて軽くしたもの。後者はイメージ通りコロッケ。

7 位 【ヴァプール】Vapeur 

蒸すこと。ヴァプールとは「蒸気」という意味の名詞。メニュー名で「蒸した」と書くときは「〇〇・ア・ラ・ヴァプール」となる。ただ話すとき、たいていのシェフは「ヴァプールする」と言っている。蒸気の出るスチームコンベクションオーブン(スチコン)の発達でヴァプールはよく使われる。スチコンでは水蒸気量を%で調整できるようになっていて、「〇%の蒸気でヴァプールする」という言い方をよく聞く。100%は鍋の蓋を閉めたときのイメージ。

8 位 【グラティネ】Gratiner  

響きでイメージできるとおりグラタンにすること。 材料を濃いめに仕上げたソースとともに耐熱容器に入れて、オーブンやサラマンダー、ガスバーナーで焼く。おろしたチーズやパン粉をかけて表面をカリッと香ばしく焼いて仕上げる。中は蒸し煮の状態になると同時に、上面に焼き色をつけて中身と異なる食感を持つ「皮」を作るイメージ。日本ではグラタンといえばマカロニだが、フランスでは魚や野菜料理が多い。

9 位 【グリエ】Griller 

これも名前のイメージ通り、グリルである。先のロティールと同様、炭火焼きのブームにのってメニューでよく見かける。もちろんガスや電気のグリルもあるが、いずれの熱源でも、たいてい網やスジ目のついたフライパンで肉や魚などを直火で焼く。火が強すぎたり材料が近すぎたりすると、表面だけが焦げて中身が生のままになる。最近では低温調理(スー・ヴィッド。後述)の発達で、低温調理したあとの素材を仕上げにグリルして出すという店も多い。

10位 【ソテ】Sauter   

もうこれはそのままソテー。だから「覚えておきたい」本件の順位では10位となった。覚えなくてもわかるだろう。厚手の鍋やフライパンに水分を加えず、少量の油脂だけで肉や魚、野菜に火を通す。よく引き合いに出されるのはポワレとの違い。ポワレは動かさずにじっくり焼くが、ソテは動かさないこともあるが、小さめの食材を混ぜたりあおったりして炒める方法も含む。ステーキもソテのひとつ。

次点 【スー・ヴィッド】Sous Vide   

メニュー名ではスー・ヴィッドと書くことはあまりないが「真空調理」という名で登場するので順位は次点。比較的新しい調理法で、素材を真空パックにし、安全に考慮したうえで60℃くらいの低い温度帯で火を通す。低温調理の意味でも使われる。身質がやわらかくなり、うま味成分も増す。最後はグリルやロティールなどで表面を焼いて真空・低温調理だけでは足りない香ばしい香りやカリッと
した食感をつける。


text 小林みどり 

本記事は雑誌料理王国2020年5月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年5月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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