これらが、食品に付いたり、増えたり、混ざったりすることで、食中毒事故を引き起こします。具体的には、次のような理由が考えられます。
まずは荷受け場から見ていきます。仕入先の衛生管理に問題がないかどうかを見極めて、取引を行なうことが大前提です。納品時は、荷受場で温度を確認。商品に破損や氷の付着などがあり、搬送途中の温度管理に不備がある場合は、受け取らず、差し戻します。保管は食材に合わせて適切な温度(冷蔵・冷凍庫)で管理。整理整頓することで食材ロスも防げます。
レシピは病原菌目線で「危険温度帯をどのように通過するか」に着目し、あらゆるメニュー(食材)を3つに分類して管理します。
グループ1は「加熱しない食品」。野菜やチーズハムなどの加工品です。グループ2は「加熱してすぐ提供する食品」。焼いた肉や魚がこのグループです。そして、グループ3は、「加熱と冷却を繰り返す食品」です。
仕込みが多いレストランでは、多くの調理が、このグループ3になると思います。
3グループの危険温度帯の通過
グループ1 は、加熱せず食べるものなので、洗浄と交差汚染の管理が重要になります。
グループ2 は、加熱により病原菌をやっつけて、すぐ食べてもらう食品なのでリスクは他のグループより少なくなります。
グループ3 は、図のように危険温度帯を何度も行き来するので、他の2グループに比べ食中毒のリスクが高いので要注意。
ソースやピュレ、煮込み、低温調理などもグループ3です。ゆっくり冷ますと、生き残った病原菌が爆発的に増えます。
「グループごとの作業工程を洗い出した後、危害要因と重要管理点を見つけます」
ここでは、実際の調理法に問題がないかの検討も必要です。サザンタワーでは、自分たちが安全と考える調理法を外部の機関に依頼し科学的調査によって安全性を立証しています。また、グループ1では、野菜やハーブなどを必ず次亜塩素酸水で殺菌した食材を使うなど、ノロウイルス対策も盛り込んでいます。
「実際に、前菜で出すサラダから、魚、肉料理のレシピを見ながら、重要管理点を見つけていきましょう」
レシピ(作り方)
ムール貝(冷凍)の調理 【グループ 3】
1.冷蔵庫内で解凍する。
2. 冷凍食材(ムール貝)をスチームコンベクションで加熱(二枚貝の十分な加熱温度、芯温85℃に設定)。
3.ブラストチラーで急冷。危険温度帯で放置せず、喫食時間を守る。
野菜の調理 【グループ 1】
1.菜を微酸性次亜塩素酸水(交差汚染防止対策)で洗い、水ですすぐ。
2. 野菜の水気をサラダドライヤーで切る。
3. 各食材を保存容器に入れ、日付を書いて専用冷蔵庫内で保管。
4. オーダーが入ったら、日付の古い物から味を確認して使用。
仕上げ
1. ボウルの中で野菜、赤ワインビネガー、オリーブオイルブレンドを混ぜ、塩・コショウで味を整える。【グループ 1】
2.パルメザンチーズをリボン状にスライスし、ハーブ類と一緒に飾る。 【グループ 1】
3.皿に盛り付ける。
レシピ(作り方)
魚の調理 【グループ 2】
1.納品した魚にアニサキスがいないかチェックする。
2.微酸性次亜塩素酸水で軽くすすぎ、においやぬめりを取る。
3.水気をペーパーで切り、冷蔵庫に日付を書いて保管。
4.オーダーが入ったら魚に味をつけて油を引いたブランチャー(又はフライパン)で皮目から焼く。皮目をパリパリに焼いたら身の方を焼く。芯温が62~63℃になるのを確認してから皿に盛り付ける。
ムール貝(冷凍)の調理 【グループ 3】
1. 冷蔵庫内で解凍する。
2. 冷凍食材(ムール貝)をスチームコンベクションで加熱(二枚貝の十分な加熱温度、芯温85℃に設定)。
3. ブラストチラーで急冷。危険温度帯で放置せず、喫食時間を守る。
野菜の調理 【グループ 1】
1. 野菜を微酸性次亜塩素酸水(交差汚染防止対策)で洗い、水ですすぐ。
2. 野菜の水気をサラダドライヤーで切る。
3. 各食材を保存容器に入れ、日付を書いて専用冷蔵庫内で保管。
4. オーダーが入ったら、日付の古い物から味を確認して使用。
仕上げ
すべての素材を盛り付ける。
レシピ(作り方)
ラム肉の調理 【グループ 3】
1. 納品したラム肉のスジをカットし、整形する。ペーパーで血抜きをする。
2. 塩を肉の重さの1%すりこみ、真空パックする。
3. スチームコンベクションオーブンで低温調理(スチームモード、庫内温度68℃、芯温52℃に設定)。
4. ブラストチラーで急冷する。
5. 再度、真空パックし、日付を書いて冷蔵庫で保管。
6. オーダーが入ったら、グリルで焼く。芯温計58℃以上になるまで加熱。
仕上げ
低温調理してグリルしたオーストラリア産ラム、グリルしたオーストラリア産ビーフ【グループ 2】 、フライドポテト 【グループ 2】 、ソース【グループ 3】 、ニンニクのグリル【グループ 2】、を合わせて盛り付ける。
本記事は雑誌料理王国第285号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第285号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。