調理機器の進化は、人間には不可能だった調理法を実現させた。なかには、もともと医療機器として使われていたものを、新しい発想によって、調理機器にした例もある。平成の調理機器史を見てみよう。
TOSEIが真空包装機として製作をスタートさせたのは昭和60(1985)年。調理機器として利用者が増えたことで、平成元(89)年に方向転換させ、売り上げを伸ばした。写真は、バブル期の末、トスパックでもっとも利用数が多かった平成6(94)年製造の商品V-380G。
「エル・ブリ」のフェラン・アドリア氏によって開発された調理機器。本体に材料を入れて密封し、亜酸化窒素ガスを充填してノズルを操作すると、本体に入れた食材が泡状になって出てくる。世界的には平成10(1998)年頃から開発が始まったという。日本では平成17(2005)年に、亜酸化窒素が食品添加物に認められた翌年に、ガス充填式の「エスプーマ・アドバンス」が発売された。
食材を冷凍したまま、特殊歯の回転によってピューレ状、ムース状に調理できる。解凍の必要がないため味や栄養価を損なわず、必要な時に必要な量だけ加工でき、仕入れのロスも減らせる。1990年代後半には、医療機器として医療メーカーが輸入販売していたが、 FMIが平成19(2007)年に調理機器としてリリースした。
スペイン・バルセロナで開発された、減圧加熱調理器。自由に調節できる容器内の気圧と加熱温度によって、食材に調味液を浸透させる。また低圧状態では、沸点が下がる。そのため、低温加熱でも料理へのダメージを抑えられる。
ドイツ・ユラボ社製のサーキュレーター(液体循環装置)。医療現場で、菌などを培養するために使われていたものを、真空低温調理用にリリースしたのが「フュージョンシェフ」。写真は、最新機種「フュージョンシェフ ダイヤモンドM」。
この1台で、ゆでる・焼く・炒める・煮る・揚げる、さらに圧力調理も可能にする次世代調理機器。左右2つのパンで別メニューの同時調理や連続調理が行える。また様々なメニューが自動調理できる。多彩な機能により、省力化や省スペース化など、業務の効率化を進めることも可能だ。
本記事は雑誌料理王国295号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は295号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。