食の未来が見えるウェブマガジン「料理王国」

「ラ・ロシェル山王」のまかない。「伝統のロールキャベツ」


みんなの活力を引き出すおいしい料理を作る

「まかないはエサじゃないから、夜の営業の元気の源になるような、おいしい料理じゃないとダメなんだよ」

 オーナーシェフの坂井宏行さんは言う。それは、「ラ・ロシェル」のまかない担当者に代々受け継がれてきた、〝鉄則〟と言ってもいいだろう。

自分なりの工夫を加えるそれが成長につながる

そのまかないを、入店半年で任されるようになったのが梅田大幹さんだ。「料理人としての基礎はできていたので、任せてみようと思いました。期待の新人です」と「ラ・ロシェル山王」の楠野大料理長は相好を崩す。

今は、今年入店した2人の後輩とともに、毎日約20人分のまかないを作る。ジャンルはフランス料理に限らない。和風でも中華風でもOK。「白いご飯に合う料理が基本なんですけれど、主食はパスタや麺類になることもあります」と梅田さん。

この「伝統のロールキャベツ」を教えてもらったのは、まかない担当になって3カ月ほどが過ぎた頃だ。「もともとは坂井シェフが渋谷本店のランチのメインで出していた料理。代々の先輩たちも作ってきた料理ですから、嬉しかったです」

梅田さんも伝統のまかないに挑戦した。しかし、代々の先輩同様、作り方をそのまま真似せず、自分なりの工夫を加える。梅田さんの工夫は、具を一晩冷蔵庫で寝かせることだ。後日、その作り方を聞いた坂井さんは、「そりゃ、僕のよりおいしいわ」と破顔一笑。とても嬉しそうだった。「素直に人の意見を聞く子、自分なりに工夫する子は伸びるよ」

営業ではまだきちんとした料理を作らせてもらえないからこそ、まかないで研鑽を積む。それが成長につながる。坂井さんが、「お客さまに出すのと同じ気持ちでまかないを作りなさい」と助言するゆえんだ。

その日、「ラ・ロシェル山王」のスタッフは、全員で梅田さんが作った「伝統のロールキャベツ」に舌鼓をうった。

まかない担当 梅田大幹さん
入店3年目に突入した梅田さん。まかないを作り始めて1年半が過ぎた。「同じメニューを作るときでも、何かしら新しい工夫をします。前と同じにはしません。『前よりももっとおいしくなるように』ということは常に心がけています」。

オーナーシェフ 坂井宏行さん
僕が下積みの頃は、野菜の皮のむき方が悪かっただけで、「こんなもの、使えるか」と言われて、全部捨てられました。傷つくよね。今はそんな時代じゃないし、僕がダメ出しをしたら最後通告になってしまう。だから、苦言は料理長に言ってもらう。その代わり僕は、いいなと思えば「おいしいね。誰が作ったの」とみんなの前で褒めます。まずければ、無言で残します。それを見て「シェフはなぜ残したのかな」と考えられる子は、伸びますね。まかないは元気の源。ときには営業で使う肉を使うこともありますよ。

【レシピ】伝統のロールキャベツ

材料(4人分)

キャベツ…6 ~ 8枚/合挽き肉…200g/冷やご飯…60g/ケチャップ…適量/チキンブイヨン…約200㏄/塩・黒コショウ…少々/ローリエ…1枚/タマネギ…1/4個/干しシイタケ…4枚/トマトペースト…適量/チキンブイヨン…300㏄/バター…適量/ベーコン…2~3枚/パセリ…少々

作り方

1−1. キャベツは中芯を外し(A)、塩を入れたお湯につけながら、 1枚ずつきれいにはがし(B)、氷水で冷やす。
1−2. 芯の部分を切り、水分を拭き取って肉たたきなどで平らに伸ばす。

キャベツの厚みを均一にすることで巻きやすくなって、ゆでムラも防げます

2-1. 冷ご飯は水洗いをし、水分を拭き取る。
2-2. ボウルに合挽き肉、ご飯、ケチャップを入れて(C)練り合わせたのち、冷やしておいたチキンブイヨンを少しずつ加え(D)、さらに練る。
2-3. 塩・黒コショウで下味をつけ、一晩冷蔵庫で寝かせる。

キャベツは2枚重ねにする(E)ことで破れにくくなり、おいしさが引き立ちます。また、ギッシリと詰めることで、煮くずれしなくなるんです

2-4. 1のキャベツで2-3を包み(F)、バターを塗った鍋に敷き詰め、ローリエを乗せる。
2-5. タマネギ、干しシイタケはみじん切りにして鍋でソテーし、香りが出てきたら少量のケチャップとトマトペーストを入れる。さらにベーコンを加え、チキンブイヨンを少しずつ加える。あとで煮詰めるので、味は薄めに。
2-6. 2-4の鍋に2-5のスープを注ぎ、火にかける(G)。沸騰したら弱火にし、落とし蓋をして約30分煮込む(H)。

3-1. ロールキャベツを鍋から出し、塩・コショウで味を調えたら(I)、くず粉を少しずつ加えてとろみをつける。
3-2. 皿にロールキャベツを盛り付け(J)、3-1のスープを注ぎ、パセリのみじん切りを飾る。

山内章子=取材、文 星野泰孝=撮影

本記事は雑誌料理王国297号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は297号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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