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日本茶の正しい楽しみ方


日本茶とその楽しみ方を、「茶茶の間」の和多田 喜さんが解説してくれました。

茶葉の違いを決める6条件

おいしさは産地だけでは決まらない。これらの組み合わせによって、茶葉の風味は変わる。

1 品種(早生、中生、晩生、印雑系など)
2 土地(山間部…香りが強い、平野部…濃さや渋味がある)
3 栽培方法(慣行、有機、無農薬無施肥、被覆)
4 茶摘み方法(機械摘み、手摘み)
5 製法(普通蒸し、深蒸し、釜炒り)
6 単一仕上げかブレンドするか

代表的な日本茶8種

煎茶生葉を蒸したのち、揉みながら針状の形に乾燥させた緑茶の総称。日本茶の生産量の約8割を占める。
玉露茶園に棚を作り、新芽が開き始めた頃から段階的に日光を遮って育てる。遮光期間は20日以上。暗がりの中で茶摘みを行う。
深蒸し茶煎茶の一種。「蒸し」の工程を長くし、渋味を抑えたお茶。茶葉が細かいため、短時間に浸出できる。
釜炒り茶生葉を釜で丹念に炒り、揉みながら乾燥させるのは、中国から伝わった伝統的な製法。「釜香」と呼ばれる独特の香りがある。
番茶食事とともに飲まれる手軽な日常茶。その多くは新芽を使わず、成熟した茶葉で作られる。地方色豊か。
ほうじ茶緑茶を強火で焙煎したお茶。炒ることで茶葉の色が褐色に。香ばしくさっぱりとした風味が特徴。
玄米茶煎茶と炒った玄米をおよそ1:1の割合でブレンド。玄米のこんがりとした香りにはリラクゼーション効果あり。
茎茶荒茶を仕上げる選別工程で茎だけを集めたもの。地域によっては、棒茶とも呼ばれる。茎特有の青々とした香り。

不可欠なのは、上質な水

お茶の99.7%は水。茶葉だけでなく、水もまたおいしさを左右する重要な存在だ。一般的に、硬度(ミネラル)の高いものほどお茶の渋味を薄くし、低いものほど渋味を感じやすくさせるといわれるが、単純に硬度だけでは、お茶への良し悪しは計れない。基本は、カルキ臭くない無臭の水を用意すること。浄水器を使って、水道水の不純物を取り除く。さらに炭やセラミックスを使って磨けば、茶葉をいっそう引き立てる上質な水になる。

煎茶をあえて熱湯で淹れる

煎茶は湯冷まししてから淹れるというのが通常のセオリ ーだが、優れた茶葉を使えば、熱湯で簡単に淹れても、おいしくいただけるはず。熱湯を使えば、茶葉の持つ甘味、旨味、苦味、渋味、香味のすべてが浸出するから、まずはこの淹れ方で茶葉の持ち味をしっかり吟味。

【煎茶の淹れ方】(1人分)
茶葉量1g、湯量100㎖、
湯温100℃、浸出時間3分間
1 急須に茶葉を入れる。
2 熱湯を注ぐ。
3 3分間、急須に蓋をせずに待つ。 4 急須に蓋をして、茶杯などに注ぐ。

急須の使い方あれこれ

お茶の風味を損ねる急須の使い方には注意すること。錆びた茶漉しや、茶殻などが付着して嫌な臭いがする急須は使わない。また、洗剤や漂白剤で急須を洗わず、茶渋は歯ブラシなどでこすり、水かお湯での洗浄を心がけよう。さらに、急須は持ち方にも注意。中の茶葉をゆすると余計な渋味が出てくるので、しっかりと安定させて持つことが大切だ。急須を振りながらお茶を注ぐと、味・香り・渋味が強くなり、急須を静かに傾けると柔らかい味になるという違いも。

日本茶図鑑

祝福
しゅくふく

高知の山が生んだ、大変稀少な釜炒り茶。おすすめの淹れ方は、80℃のお湯100㎖に対して2g用意し、1分間浸出。繊細な香りが楽しめる。

宇治玉露
うじぎょくろ

遮光し、手間ひまかけて丁寧に育てられることで、海苔のような香りと強い甘味、ふくよかな旨味を持つ京都の銘茶。

秋津島
あきつしま

甘味、渋味、旨味、香気、すべてのバランスが優れた静岡の手摘み煎茶。これを飲まずして日本茶は語れないという究極の味。

宇治手炒りほうじ茶
うじていりほうじちゃ

無農薬の緑茶を生産者が焙じて、一年間熟成させた貴重な一番茶。炒った茶葉ならではの香ばしさを堪能したい。

京番茶
きょうばんちゃ

京都の昔ながらの味といえばこれ。後口すっきり、食後の一服に最適な番茶。沸きたての熱湯を使って、豊かな香りを引き出そう。

紅香日
べにかおりび

紅茶のような見た目なのに、味わいは中国茶のようという、とても不思議な日本茶。蓋碗で淹れたい釜炒り茶だ。

碁石茶
ごいしちゃ

高知県大豊町で数百年前から伝承されてきた、大変珍しい完全発酵茶。乳酸発酵させたお茶ならではの酸味が特徴的。

鷲峯
わしみね

無農薬有機栽培の抹茶。茶筅で立てることで、抹茶独特のきめ細かい泡と滋味あふれる苦味、鮮やかなうぐいす色を楽しめる。

幸福の茶棒頭
こうふくのちゃぼうず

良質な深蒸しの一番茶から、艶やかな茎を厳選。すっきりしたのどごし、軽やかですがすがしい香りは茎茶特有のもの。

和多田 喜さん
1978年東京都生まれ。日本茶ソムリエ。2005年に「茶茶の間」オープン。良質な茶葉を選び抜く天性のセンスと自由な発想で、日本茶の魅力を伝える。著書に『日本茶ソムリエ・和多田 喜の今日からお茶をおいしく楽しむ本』(二見書房)がある。

本記事は雑誌料理王国2011年4月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2011年4月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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