嗜好は人それぞれ。自分がおいしいと感じた料理を、必ずしも他の人がおいしいと思うわけではありません。その逆も然り。
とはいえ、おいしい/おいしくないが話題にのぼることは多いですし、おいしいと感じたときは、ちゃんと伝えたいですよね。
今回は、食事に関する英語表現をお伝えします。
「おいしい!」を表す表現はたくさんあります。
よく知られている「Delicious(おいしい)」を筆頭に、単に「Good(いいですね)」と言ってもよく、実際によく使われます。
よりおいしいと感じた場合は、「Wonderful(素晴らしい)」「Amazing(感動的)」などと言ってもいいでしょう。
ひと言だけでもいいのですが、それぞれ頭に「It’s」を伴って、「It’s delicious」などとすると丁寧な表現になります。
料理の味わいや風味を褒めたい場合は、tasteという動詞を使って「It tastes wonderful/great(これ、おいしいですね)」で表現する手もあります。
ほかにも、「I like it(これ、好きです)」「I love it(これ、大好きです)」と言うのもありです。
最近では、「Yummy(うまい!)」という表現も知られるようになりました。
ただし、これはカジュアルかつ子供っぽい言い回しなので、ビジネスやセミフォーマル以上の場にはふさわしくありません。
概して西洋人ははっきりとものを言うと思われていますが、意思表現をちゃんとすることとストレートに表現することは違います。
気のおけない人たちといるとき以外は、ストレートにネガティブ表現することは避けるのがいいでしょう。それは食事のシーンでも同じです。
「Awful/Terrible/Horrible(マズイ)」だの「This tastes strange(変な味)」だのはっきり言うのは、よほど親しくないと使えないかな、と感じます。
では、そんな時にどう言うか?
とても便利な言葉があるんです。
それは、
interesting
「おもしろい」という意味で知られているこの言葉、おいしくないを婉曲的に表現する場合に使えます。
「This tastes interesting(なかなか興味深い味ですね)」と言って手をつけない、もしくは途中で食べるのをやめる、というわけです。
つまり、「私はこのような味は今まで体験したことがない、なかなかおもしろい味ではありますが、まあ、このくらいで結構です」といったようなニュアンスです。「なかなかおもしろい味ですね」と一応は言っているので、褒めているととれなくもありません。
そして実際に興味津々な場合にも用いられるので、真意がわかりづらい表現とも言えますが、相手を不快にさせない、このことが大事なのです。
「お腹がすいた」を表現するのにhungryが用いられるのは広く知られるところです。
でも、これだけではないんです。
お腹のすき具合によって、別の言い方をすることもあります。
peckish
これは、小腹がすいた、という意味。
「I’m feeling peckish(お腹がすいてきちゃった)」などと使います。
ただし、これはイギリスでの表現で、アメリカ合衆国でpeckishは「怒りっぽい」という意味で用いられているようです。
お腹ぺこぺこの場合は
「I’m starving(お腹がすいて死にそう)」という表現がよく使われます。
starveは「飢える」という意味で、その現在進行形ですから、「飢え死にしそう」となるわけですね。つまり、それだけ空腹だということです。
「I could eat a horse(馬一頭も食べられそう)」
どれだけお腹がすいているのかを表すのに、「馬一頭丸ごと食べられるほど、お腹がすいている」というわけですが、ミソはcouldかもしれません。canだと、実際にできること、ですが、couldはできそうなことを意味するのです。っと、文法の話になりそうなので、ここまでにしておきましょうね。
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文=羽根則子
イギリスの食研究家&フードダイレクター/編集者/ライター。出版編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、2000年渡英。2007年英国クッカリーコース修了。菓子をはじめ、ワインや料理、フードビジネスなど、伝統から最新のフードシーンまで、イギリスの食事情についての企画、監修、寄稿、情報提供、講座・イベント講師を務める。