世界一の輸出量を誇る韓国産海苔で作るフランス料理


韓国産海苔というと“ゴマ油と塩で味付けされた海苔”を思い浮かべる人が多いのではないか。しかし実際は、生海苔や板海苔など様々な形態で楽しまれており、さらに輸出量世界一を誇るように、世界中で使われてもいる。今回は「銀座 大石」の大石義壱さんに、フランス料理における韓国産海苔の活用法を披露してもらった。

海苔、という食材は有明海に代表されるように日本の国産のイメージが強いが、実は世界的にメジャーなのは韓国産だ。国内の一人当たりの消費量は日本の倍以上で、世界最大。輸出量も2017年に初めて2万トンを超え、こちらも世界最大の輸出国として市場を牽引している。その背景には世界的な健康志向の高まりがあり、海苔の豊富な栄養や低カロリーであることなどが見直されて、市場自体も急速に拡大しているのだ。

日本では韓国産海苔は、ごま油と塩で味付けしたスナックのイメージが強いが、実際には味付けをしていない板海苔や青海苔の需要も高く、食品業界で広く使用されている。
また、2017年にスイスのジュネーブで開かれた国際食品規格委員会(CODEX委員会)の第40回総会では、韓国の提案した、乾燥海苔、焼き海苔、味付け海苔についての規格案が、アジア地域の規格として採択された。これは、世界初の海藻類の国際規格であり、韓国産の原料や製法が世界標準として認められたことを意味する。

今回はそんな世界標準の韓国海苔を使い、フランス料理の正統派レストラン「北島亭」で16年間スーシェフを務め、2019年に独立し、カウンター割烹のような新しいスタイルのフランス料理を切り開く「銀座 大石」の大石義壱シェフに、料理を披露してもらった。

大石シェフは韓国産海苔について、「厚みがあり、そのままで食べると少し『生海苔』のようにしっとりとしているので、コンロであぶる。するとパリッとした食感が出て、香りが高まる」と語る。
これは、日本の海苔が一般的に、薄いスサビノリ一種をさらに細かく刻んで均等な厚さに仕上げるのに対し、韓国では、日本で岩海苔と呼ばれるオニアマノリやマルバアマノリなどの品種を使い、その厚みを活かして歯応えを楽しめるように適度な大きさを残して成形される、という違いに由来する。また、複数品種を用いることも珍しくなく、濃淡を感じる仕上がりになるのも、韓国産の海苔の特徴だ。

コンロであぶることで水分を飛ばし、パリッとした食感を出すとともに香りを立たせる。
一口大にちぎった韓国産海苔を、カリフラワーと合わせてソースにする。
一口大にちぎった韓国産海苔を、カリフラワー、生クリームと合わせてソースにする。

そんな韓国産海苔を使い、「北島亭」のスペシャリテであり、「銀座 大石」でもアレンジを加えながら提供し続けている「雲丹のコンソメゼリーよせ」をさらにブラッシュアップ。海苔はあまり小さくし過ぎず、一口大くらいに手でちぎり、カリフラワーと合わせてクリームソースに仕立てる。そこに韓国産海苔と同じ海産物で親和性の高い帆立や赤座海老、そして雲丹などを合わせ、さらに動物性のたんぱく質であるコンソメゼリーでうま味を相乗させる。
イメージは「海の幸の宝石箱」。しかし主役はあくまで韓国産海苔だ。
たくさんの食材を使っているが、海苔以外の味付けはトーンを抑え、韓国産海苔の風味を引き立てている。

韓国産海苔の特徴を活かした「雲丹のコンソメゼリーよせ」の作り方や、フランス料理に使うポイントなど、詳しくはこちらの動画でご覧いただきたい。

大石義壱

大石義壱

1981年、福岡県生まれ。フランス料理の正統派レストラン「北島亭」で16年間スーシェフを務めた。「オヤジ(北島素幸シェフのこと)の味を受け継げるのは自分だけ」という自負を支えに、2019年9月に独立。カウンター12席の新天地で勝負する。

銀座 大石 東京都中央区銀座2-10-11 マロニエ通り銀座館2F  18:00〜23:00 月休 https://ggnb200.gorp.jp/

銀座 大石

東京都中央区銀座2-10-11 マロニエ通り銀座館2F
18:00〜23:00
月休
https://ggnb200.gorp.jp/

お問い合わせ先
韓国水協中央会 東京貿易支援センター
TEL 03-6453-7127
http://www.kfishtrade.com/jpn/main/main.html

text:小林乙彦(料理王国編集部) photo:小沼祐介

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