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【飲食店の法律相談所 #9】レシピ本出版の話を持ち掛けられた。注意点を教えてください


Q.レシピ本出版の話を持ち掛けられた。注意点を教えてください

イタリアンの店を経営しています。最近、常連さんだった出版社の方から、レシピ本を出さないかとのご提案を受けました。印税で稼ごうとまでは思っていませんが、少なくともお店のプロモーションにはなりますので、出版のお話は受けるつもりです。ただ、書籍の出版は初めてですので、わからないことばかりです。自費出版や商業出版、印税や著作権など、色々なトラブルがあると聞きますので、気を付けなければいけない点を教えてください。
(30代、イタリア料理店 オーナーシェフ)

A.レストランのプロモーションとしては効果があります。印税契約でトラブルにならないようにしましょう

最近は、一般の方がSNSでアップしたレシピが本になることもありますし、レシピ本がかなり売れているようですね。

まず注意すべきは、出版の方法です。今回、出版のお話があったとのことですが、なかには、企画料や印刷料などを自己負担する自費出版というスタイルもあります。要は、出版社の営業目的ということです。これは一般的に考えられている書籍の出版とは少し違いますので注意しましょう。

自著でも写真はカメラマンに著作権が

自費出版ではなく、出版社が企画、編集、印刷する普通の出版(「商業出版」とよびます)については、撮影料や印刷費の自己負担はありませんが、書籍について権利関係の問題があります。

何もしなければ、著作権は著者、つまり書いた人にあります。したがって、文章については、基本的にあなたが権利を持つことになります。ただ、レシピ本は、料理の写真も撮ります。写真の場合は、いくらこちらが有料で依頼したものでも、著作権者はカメラマンになります。したがって出版後、写真を自由に使いたい場合は、カメラマンと交渉をしておき、著作権をこちらに移すように交渉しておく必要があります。

また、本の外観やデザインなどは、通常、出版社側で製作しますので、厳密には、出版社(または第三者のデザイナー)に著作権があります。ただ、書籍自体の著作者であるあなたが、これをSNSなどで自由に宣伝したり、使用したりできないのはおかしいですから、特にそれを禁止する契約になっていない限り、利用許諾を与えられていると解釈すべきでしょう。

よく相談を受けるのは、レシピ自体が何かの権利で守られるかという点です。結論からいえば、レシピ自体には権利の設定はありません。そのため、極端なことを言えば、自分の師匠から教わったレシピを師匠の許可なく出版しても構わないし、自分が出したレシピを誰かが転用しても、著作権の問題は生じないということになります。もちろん、書籍のページ自体を丸々コピーして使えば著作権を侵害しますし、どこかの秘伝のレシピを勝手に公開すれば、不正競争防止法という法律に違反する可能性もあります。ただ、レシピ自体を直接保護するのは難しいということです。

印税は、出版社と結ぶ著作権料の契約

印税については、なんとなく「税金」のように、売れた分だけ勝手に入ってくるように思えてしまいますが、印税とは著作料のこと。印税の設定を、出版社と著作者との間で事前に決める必要があります。原稿料として固定で支払われることもあれば、部数によって支払われたり、重版によって印税の係数が変わる契約もあります。

ちなみに、一般的な書籍の場合の印税は、本の定価×刷り部数×印税係数で支払われることが多いです。最初の単著であれば、印税係数は5〜10%が一般的。仮に印税係数8%で、1000円の本を初版1万部で発行するのであれば、著者には80万円の印税が支払われます。この印税係数を出版社が一方的に下げたりすることもあります。心配でしたら、出版契約書を結ぶなど対策を取りましょう。

印税が無料というものもあります。無料といっても、書籍を企画、印刷するだけで出版社には負担がかかりますので、著者にとっては出版による広告効果というメリットがあります。いずれにせよ、後でトラブルにならないように、出版社との間で、事前によく話しあうようにしてください。

飲食店専門弁護士 石﨑冬貴
1984年、東京都生まれ。神奈川県弁護士会会員。横浜パートナー法律事務所所属。飲食店法務を専門的に取り扱うほぼ唯一の弁護士。著書に『なぜ、飲食店は一年でつぶれるのか?』(旭屋出版、2018年)がある。

本記事は雑誌料理王国2019年7月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は 2019年7月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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