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一度は訪れたい中国料理の人気店(1)南青山「ミモザ」

酢豚

中国料理の枠から出ず新しくて驚きのある料理を

新しい味だったり、食べたことのない食感だったり。遊びのある料理を作りたい

 2016年7月、南青山に「ミモザ」をオープンしたオーナーシェフの南俊郎さん。27歳で新宿御苑の「シェフス」の料理長を任された実力の持ち主だ。南さんは大学を卒業後に料理の世界に入った。専門学校在学中からアルバイトをし、卒業後に就職したのが、予約困難な大阪の中国料理店「酒中花 空心」。南さんは、自分と5歳しか違わない若きオーナーシェフから多くを学び、「30代前半で独立する」と決意する。

26歳のとき、「シンプルであっさりした味」に感動して「シェフス」の門を叩く。「シェフス」では現「レンゲ」の西岡英俊さんのもとで基礎からみっちり学んだ。2年後に料理長に就任。「いいチャンスなのだから必ず形にしなければ」との強い想いが、「食べログ」中華部門・全国1位という形で花開いた。

「シェフス」での6年半を経て、32歳で独立。既に人気店となり、現在予約1カ月待ちという。

ワインはフランスを中心に、イタリア、アメリカ、オーストリア産など、豊富な種類を揃えている。それに対し、紹興酒は1種類のみ。

「僕の料理は、見た目はシンプルですが、今までにない新しい味だったり、食べたことのない食感だったりと、遊びがある料理が多いです」 

 たとえば前菜の「クラゲ大根シュガー」は、細切りにしたクラゲと大根を塩で和えてサラダ仕立てにし、そこへ万能ネギをのせ、最後に砂糖を振りかけて熱々の油をかける。油をかけると砂糖が結晶化する。それを箸で混ぜ、シャリっとした食感も楽しんで欲しいのだ。

甘み、酸味、旨味のある干し梅が味わいに奥行きを与える

中国干し梅入り酢豚
使った調味料は、塩、米酢、黒酢、グラニュー糖だけとは思えないコクと深みのある酢豚。甘み、酸味、旨味を兼ね備えた砂糖漬けの干し梅が、いい仕事をしている。サクッと揚がった豚肉は油っこくなく、いくらでもいける。

 店のスペシャリテのひとつが、メープルシロップのような甘い香り漂う「中国干し梅入り酢豚」。シンプルなひと品だが、まろやかで深みのある甘みと酸味が、カリッとしながらも弾力のある豚肉に絡んで、なんとも奥行きのある味に仕上がっている。調味料は、塩、酢、グラニュー糖だけというシンプルさ。

「干し梅を調味料の一部として使っているんです。素材自体が力強い味なので、酸味、甘み、旨味を出してくれます」

 豚に塩をし、小麦粉、片栗粉の順番で混ぜ込む。次にコーン油を豚肉に加えて揉み込み、片栗粉をまぶしてコーン油で揚げる。ポイントは、油を豚に加えること。こうすることで豚肉がサクッと揚がるという。

岩中豚の肩ロースに、塩、日本酒、小麦粉、片栗粉の順番で揉み込み、ボウルに線が書けるくらいまで混ぜる。
片栗粉をまぶしてコーン油で揚げる。

 コーン油を入れた鍋に、黒酢、米酢、水、塩、グラニュー糖を加えてひと煮立ちさせ、甘酢を作る。干し梅を投入後、すぐに水溶き片栗粉を入れてとろみを付け、揚げた豚肉を絡めれば完成。干し梅を加えてから完成まであっという間。それでも餡全体に干し梅の甘みと酸味がバランスよく絡む。軽やかでやさしい味わいの、これぞ南さんの酢豚だ。

Toshiro Minami
1983年徳島県生まれ。大学卒業後に辻調理師専門学校へ。卒業後はアルバイトをしていた大阪の中国料理店「酒中花 空心」にそのまま就職。26歳で「シェフス」に入り、2年後に料理長に就任。昨年7月、南青山に「ミモザ」を開店。

ミモザ
Mimosa

東京都港区南青山3-10-40 フィオラ南青山ビル2F
03-6804-6885
● 18:00~23:00LO
● 日祝休
● コース 8500円
● 22席
www.mimosa-aoyama.com


名須川ミサコ=取材、文 富貴塚悠太=撮影

本記事は雑誌料理王国第273号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第273号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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