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世界各国から届いた話題のグルメ情報 ~ニューヨーク編~


極寒の冬に備えた防寒対策と屋内営業への規制に右往左往

11月に入り、冬時間が始まると同時に気温もかなり下がり、最高気温が10度前後という日が当たり前になってきたニューヨーク。夜ともなれば、ビール1杯でも外で飲むのが厳しい寒さだ。しかしそのタイミングで期限付きだった屋外ダイニングが永続化され、電気ヒーターのほかガスとプロパン式ヒーターの利用が認められたため、レストランでは屋外席の防寒対策が急ピッチで進められている。

街を歩けば、ストリート沿いには趣向を凝らした屋外ダイニングが見つかる。予算の関係か、タープで雨避けをしただけの簡易的な対策のところもあるが、一方で窓や扉も設けた立派な小屋のようなタイプも目に留まる。韓国モダンダイニング「Oiji」ではコンパーメントタイプのプライベート空間を設け、カーテンやペンダントライトで装飾。店の値段にふさわしい体験を仮設スペースでも提供できるよう手を尽くしていた。

沿道沿いにレストランから独立したプライベート空間を設置した「Oiji」。まだ店内での飲食に不安をもつ人も多く、屋外席は特に人気だ。

なお、客数を25%に抑えての店内営業が9月末から始まったが、2ヶ月を待たずに市内のCOVID-19感染者数が急増。11月15日からはレストランやバー、ジムなどの屋内営業が夜10時までに短縮された。この冬はCOVID-19感染状況のさらなる悪化が見込まれているため、屋内飲食自体が再び禁止される可能性は非常に高い。ダウンタウンのナチュラルワインバー「Kindred」は、冬の間の客足減少を予想し、1月から3月までは一時的に閉店するという。店にとっても、消費者にとっても、マイナス気温との闘いはこれからだ。

チャイナタウンの「Tasty Hand Pulled Noodle」は、キャスターのついた小部屋を外に用意。物珍しさもあってアメリカ人のお客で大賑わいとなっている。

実力派シェフが手がけるアップスケールなホテルダイニングが堂々デビュー

パンデミック中においては小規模カジュアルレストランのオープニングが続いていたが、この秋ようやく正統派のエレガントダイニングが誕生した。ソーホーの西に位置するブティックホテル「The Dominick」内のメインダイニング「Vestry」だ。実は昨年秋の開店を予定していたが、工事の遅れとCOVID-19の影響で、1年遅れのオープンとなった。

シェフとしてキッチンを指揮するのは、ベテランシェフのショーン・ハーガット。1997 年にシドニーで「ベスト・ヤング・シェフ」の称号を得て以来、ニューヨークやマイアミなどの高級ホテルダイニングで成功を収めてきた人物だ。「SHO Shaun Hergatt」、「Juni」で連続してミシュランの星を獲得しており、今回のプロジェクトも期待が寄せられている。 120席を予定した店内はCOVID-19対策のため30席に縮小されているが、ホテルダイニングにふさわしく天井高の落ち着いた空間だ。プライベートダイニングのスペースもあるほか、屋外ダイニングも40席完備されている。

「Vestry」が提供するのは、野菜とシーフードに力を入れた季節の料理だ。野菜は地元の農家やフォレジャー(野山で山菜やきのこなどを収穫するスペシャリスト)と協力し、旬の食材をふんだんに使用。絵画的と称される皿の演出からは連想しづらいが、実は全体に和食の影響を強く受けており、刺身はもちろん、麹や味噌、昆布など和の食材が料理の要となっている。日本のウィスキーをベースにしたカクテルとのペアリングもおもしろい。

シソの天ぷらは海老と麹のディッピングソースにつけていただくスナック的一品。
© Vestry
https://www.vestrynyc.com

小松優美
ニューヨークの食、デザイン、カルチャーを分野に活動ライター&プロデューサー。飲食店の激戦区イーストビレッジ住まいで体重増加中。



本記事は雑誌料理王国2021年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2021年2月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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