【おいしいスパイスカレーのつくりかた】タマネギを加熱する理由


タマネギを加熱する理由

タマネギの切り方&加熱方法に正解はない!
タマネギを加熱する理由は4つある。甘みやうま味を引き立てること、脱水させて濃縮すること、香味を加えること、粘度を強めることの4点だ。つまり以上の4点を得られれば良いので、カレーのレシピで頻出する「タマネギを弱火で加熱してキツネ色にする」という工程は手段であって目的ではないことがわかる。そこで「カレーのOS輔」が編み出したのが、敢えて焦げる直前まで我慢して炒め、水を加えるという手法。油で炒めるタマネギをかき混ぜずに我慢して、鍋肌に接している部分が褐変するタイミングで水を加えてかき混ぜる、という作業を3回ほど繰り返すのだ。これなら10分程度でタマネギが写真のような色合いになるが、実は水を加えるタイミングを見極めるのがかなり難しいため、今では水で蒸煮する手法に切り替えているという。


タマネギは炒め色によって用途が異なる

水分量が減ると色が濃くなる
加熱によって脱水したタマネギは、水分量が減るほどに色が濃くなる。400gのタマネギを未加熱(ウサギ色)の状態から徐々に加熱した結果、100gになったときの色はヒグマのような色になる。これはタマネギの糖分とアミノ化合物の化学反応によって香気を引き出すメイラード反応と、タマネギの糖分に化学反応を起こし深い香りを引き出すキャラメル化による効果。色が濃くなれば(脱水が進めば)それだけ、香りと味わいにパンチが増加されるというわけだ。

ウサギ色(400g)
イタチ色(220g)
キツネ色(170g)
タヌキ色(130g)
ヒグマ色(100g)

text 水 亨一 photo 八田政玄

本記事は雑誌料理王国2020年6・7月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年6・7月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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