YouTubeのFOOVER料理王国チャンネル。
シェフや料理人がプロの料理の作り方を紹介していて、現在、チャンネル登録者数がジワリジワリと増え続けている人気番組になっています。人気の秘密は、よくメディアに登場する著名なシェフたちが、15分程度の動画で、料理の作り方、プロのテクニックを説明してくれてわかりやすいから。誌面ではよく登場するシェフや料理人も、動画は初めてという方もいます。無口なシェフもいいですが、説明がわかりやすく、うんちくのあるシェフの話を聞きながら想像する出来上がりの味が、静止画よりもリアルに伝わると評判です。
6月号で紹介した、陳建一さんの麻婆豆腐の作り方は、もうすぐ50万回視聴に迫る勢いで、今でもその数は増え続けています。8月号は7月6日発売ですが、誌面より先に、FOOVER料理王国では、掲載した料理の作り方動画は視聴できるようになっています。
今回のテーマは夏にぴったりのカレーを和洋中の名店のシェフ6人につくっていただくというもの。それぞれに味わい深く興味深いのですが、イタリアンのシェフのカレーは、5月に新店「JINBO MINAMIAOYAMA」がオープンしたばかりの野菜の魔術師、神保佳永シェフにお願いしました。初めてお邪魔しましたが、なぜか、以前にも来たことがあるような気が……。それもそのはず、ここは、イタリアンの名店、リストランテ濱崎があったところでした。神宮前に移転した後のお店を全面改装してオープンさせたとか。イメージはだいぶ変わりましたが、間取りなど、なんとなく濱崎時代の面影がありました。
水は北アルプスの軟水を知り合いから特別に分けていただいていて、米はやはり知人の米マイスターが薦める青森のコシヒカリを使用。それだけでも美味しそうですが、カレーは、野菜でソフリットを作ってから、各種香辛料を加えて作った鶏モモ肉のカレーです。モモ肉は一晩、ヨーグルトに漬けたもの。それにリンゴジャムとトマトを加えて煮込んでいます。作り方の詳細は、誌面でご覧いただくか、FOOVER料理王国チャンネルの動画でご覧ください。
神保シェフは、ソフリットを製作中や、香辛料を加えた時、何度も匂いを嗅いでいました。野菜のおいしさが出るように、ツーンという匂いがなくなるまで、ということでした。塩を加えないソフリットは、野菜から出た甘味がカレーの味をいっそう引き立てていました。神保シェフが何度も何度も、これは辛いですよーというので試食タイムはビビっていました。何しろ仕上げで味見をしたシェフが、「うわぁ、辛いです!」というのですから、ビビって当然ですよね。
試食では、恐る恐るスプーンを入れて、最初は少しだけ舐めてみました。辛っ!!と思うかと用心したのですが、口の中に広がったのは、香辛料の香りと野菜の甘味が溶け込んだ深い味。辛さは後でちょっとという感じでした。
後でわかったのですが、神保シェフは辛い味が苦手とか。初めから聞いていたらビビることもなかったのにと思いましたが、辛くないと思って食べた時に辛いより、はるかに良かったと思い直しました。僕も辛い味は苦手なので、このカレーは、大変美味しくいただきました。
そういえば、陳さんの麻婆豆腐も辛そうに見えて、辛くなかったなぁと思い出しました。この時も、香辛料の味が絶妙なハーモニーを出して美味しかったです。陳さんの麻婆豆腐も、神保さんのカレーも併せてFOOVER料理王国チャンネルでお楽しみください。もちろん、7月6日発売の8月号もお楽しみに。