洋菓子技術講習会 by菊地賢一氏 2022“夏”グラスデザート&アシェットデセール

洋菓子技術講習会 by菊地賢一氏 2022“夏”グラスデザート&アシェットデセール

「月曜シェフ塾」は、フレンチやイタリアンを中心としたプロの若手料理人、ホテル勤務者などを対象にした、低価格で調理技法を学べる試食もできる料理講習会だ。講師は、業界を代表する高い見識と調理技術を有する一流シェフ。レストラン業界の休みが多い月曜日を基本に開催している。

2022年6月20日(月)、東京・渋谷の「ドーバー洋酒貿易株式会社」のセミナールームで、「パティスリー レザネフォール」の菊地賢一シェフによる「洋菓子技術講習会」が開催された。今回のテーマは、「2022“夏”グラスデザート&アシェットデセール」とタイムリー。受講者のなかにも「そろそろ夏のデセールを考える時期なので、今日はヒントをもらうために来ました」と話すパティシエも少なくない。「今日はいつもお店でデセールを作っていらっしゃる方も多いと聞きましたので、そんな皆さんに役立つ情報などもご紹介していきたいと思っています」と話し、菊地シェフは技術講習会をスタートさせた。

洋菓子技術講習会 by菊地賢一氏 2022“夏”グラスデザート&アシェットデセール

1つ目は、「ブランマンジェカフェ」。グラスの下にブランマンジェ、上にジュレドカフェを重ねただけのシンプルなグラスデザートだが、単に2つを重ねただけではない。
ブランマンジェのほうは、牛乳にコーヒー豆を浸して1日置いた、コーヒー風味の牛乳を使用。ジュレドカフェのほうは、別の容器で固めてからスプーンですくってブランマンシェの上に乗せることで、見た目に変化をつけた。
上に飾ったミニタピオカはもちもち感を加えるため。「少し芯が残るように茹でるほうが、時間が経っても食感が残るんです」と菊地シェフは説明する。コーヒー風味のブランマンジェの甘さとジュレドカフェの苦味のバランスもよく、夏にはぴったりのデザートだ。

洋菓子技術講習会 by菊地賢一氏 2022“夏”グラスデザート&アシェットデセール

続いては、「トンカキャラメライズ」。こちらは、甘く上品な香りで知られるトンカ豆とタヒチ産バニラビーンズ、エクアドルの「リパブリカ デル カカオ」社製のチョコレートを使ったグラスデザートだ。グラスの底から順に、バニラ風味のババロア、「リパブリカ デル カカオ」社製のチョコレートやトンカ豆などを混ぜたムースショコラオレキャラメライズ、クレムシャンティを重ねた。「トンカ豆は、刻むよりも削ったほうが香りが出ます」と菊地シェフ。
棒状の飾りは、ムラング・スイスを棒状に絞って70度のオーブンで1日乾燥させたもの。「70度のオーブンで30分ほど乾燥させたら、あとはスイッチを切ってしまって大丈夫です」。「リパブリカ デル カカオ」のチョコレートは、濃厚だが過度に舌に残らない。最後にふったコリアンダーパウダーも爽やかで、蒸し暑い夏でも美味しく食べられそうだ。

洋菓子技術講習会 by菊地賢一氏 2022“夏”グラスデザート&アシェットデセール

3つ目は「パンプルムース」で、こちらは爽やかなグレープフルーツの甘味と苦味が利いた、目にも鮮やかな夏らしいグラスデザート。グラスの底にはコアントローとレモン果汁を入れたヨーグルトムース、その上にフランスの「ラ・フルティエール」社のピンクグレープフルーツのピューレを使ったジュレを乗せ、クラッシュジュレや生のグレープフルーツを飾れば、完成だ。「『ラ・フルティエール』社の製品は、ピューレでありながら生のフルーツのような香りがして美味しいですよ」。

洋菓子技術講習会 by菊地賢一氏 2022“夏”グラスデザート&アシェットデセール

最後は「アナナスフロマージュ」で、こちらはアシェットデセールだ。
型にココナッツ味のダックワーズココ、パッションフルーツのソルベ、「リパブリカ デル カカオ」社製のホワイトチョコレートと太白ごま油、ヨーグルトパウダーを合わせて薄い板状に焼いたトランペショコラブラン、フロマージュブランムースを重ねて入れ、凍らせる。
「パッションフルーツのソルベは、『ラ・フルティエール』社のパッションフルーツピューレと20°ボーメ、レモン果汁を合わせてソルベの機械に入れ、出来上がったあとに生のパッションフルーツを混ぜ合わせるのがポイントです」。
最後に、レモンの表皮やアロマシトロンを少量入れたムラングシトロンを厚さ1㎜ほどの板状に焼いて、切り分けた「アナナスフロマージュブラン」の両側に貼り付け、沖縄産のパイナップル、ナタデココ、スペアミント、コイル状にした糸飴などを飾り付けた。

洋菓子技術講習会 by菊地賢一氏 2022“夏”グラスデザート&アシェットデセール

菊地シェフのアイディアや見識が詰まった今回の「洋菓子技術講習会」。

「今は、いかに仕事を効率化させるかを考えることも大事なので、メニューを考えるときも、手間がかかるものとかからないもののバランスを常に意識しています」と菊地シェフ。参加者の間からは「一流のシェフのやり方を間近でみることができて勉強になりました。自分も同じようにやっていることもあり、『ああ、このやり方、この考え方でよかったんだ』と、答え合わせができたのもよかったです」といった声も聞かれた。スマホで動画を撮ったり、実演の途中でも質問の声が何度も上がるなど、受講する皆さんの熱心な姿も印象的だった。

text:山内 章子

Sautoir Club/月曜シェフ塾 

関連記事


SNSでフォローする