フランス料理技術講習会 by高良康之氏 魅惑のソース作り! フォンからの派生を学ぼう! Part1

フランス料理技術講習会 by高良康之氏 魅惑のソース作り! フォンからの派生を学ぼう! Part2

「月曜シェフ塾」は、フレンチやイタリアンを中心としたプロの若手料理人、ホテル勤務者などを対象にした、低価格で調理技法を学べる試食もできる料理講習会だ。講師は、業界を代表する高い見識と調理技術を有する一流シェフ。レストラン業界の休みが多い月曜日を基本に開催している。

2022年5月16日(月)、東京・渋谷の「服部栄養専門学校 別館ANNEXE」で、「Restaurant L’affinage」の高良康之シェフによる「フランス料理技術講習会」が開催された。今回のテーマは「魅惑のソース作り。フォンからの派生を学ぶ」だ。冒頭、高良シェフはこう話して講習会の口火を切った。

「最近は『ブイヨンやフォンはもう取らないよ』と言うシェフも多くなりました。それを否定はしません。取っても取らなくてもよいと思っています。ただ、僕はどんなソースを作るときでもベースは必要だと思っているので、まずはベースを作り、料理に合わせてソースとして整えていくようにしています」

フランス料理技術講習会 by高良康之氏 魅惑のソース作り! フォンからの派生を学ぼう! Part2
フランス料理技術講習会 by高良康之氏 魅惑のソース作り! フォンからの派生を学ぼう! Part2

では、ベースとなる「フォン・ブラン・ド・ヴォライユ」(ベースのフォン)からスタートしよう。高良シェフは手羽先、首ツル、ガラの3つの部位を使う。3つの部位を鍋に入れ、ひたひたに水を張って火にかけて沸騰させ、アクを十分に取り除いたら、香味野菜の量を考えて氷を入れる。氷で温度を下げることで、さらにアクが出てくるのでキレイに取り除く。あとは香味野菜とブーケガルニを加えて約4時間炊き、漉したあとのフォンを軽く煮詰めて味を整える。透明感のあるクリアなフォンを目指そう。

続いては、真鯛のポアレに合わせる「ヴェルデュレットソース」。パセリ、セルフィーユ、アネット、ホウレンソウでハーブペーストを作る。一方で、鍋にサラダオイルと無塩バターを入れてエシャロットとニンニクの薄切りをよく炒め、ベースのフォンと3分の1まで煮詰めた生クリームを加え、軽く煮詰めたグラナパダーノを入れて塩で味を整え、濾す。「エシャロットとニンニクの旨味を生クリームに移してあげるイメージで」と高良シェフ。

続いては、真鯛のポアレに合わせる「ヴェルデュレットソース」。パセリ、セルフィーユ、アネット、ホウレンソウでハーブペーストを作る。一方で、鍋にサラダオイルと無塩バターを入れてエシャロットとニンニクの薄切りをよく炒め、ベースのフォンと3分の1まで煮詰めた生クリームを加え、軽く煮詰めたグラナパダーノを入れて塩で味を整え、濾す。「エシャロットとニンニクの旨味を生クリームに移してあげるイメージで」と高良シェフ。

また、ソースの構成を考えるときはどんな味にしたいのか決めておくこと、と高良シェフ。「今回は酸味より旨味を入れたいのでニンニク、さらに香りが欲しかったのでエシャロットにしました。エシャロットの代わりにタマネギはどうかという質問を受けますが、答えはノー。タマネギは甘さが出るだけで、エシャロットの風味とは全然違います」。ここに、ハーブペーストを加えて味を整えれば、「ヴェルデュレットソース」の完成だ。

次は、鶏肉に合わせる「アルビュフェラソース」。鍋に無塩バターとオリーブオイルを入れ、スライスしたエシャロットを炒め、タイムとローリエ、マッシュルームを加えてさらに炒める。「水分の多いマッシュルームをエシャロットと一緒に炒め始めると、マッシュルームの水分がどんどん出てきて、結果的にマッシュルームのジュースのなかでエシャロットを煮ているだけになってしまいます。それではエシャロットの旨味も風味もなくなってしまうので、先にエシャロットを炒めることが重要です」と高良シェフ。そこに白ポルト酒を加えて半量まで煮詰め、ヴェルモットを加えてさらに半量まで煮詰める。ここに、ベースのフォンとフォン・ド・ボーを加えて半量になるまで煮詰めて漉し、生クリームとフォワグラバターを加え、ピメントエスプレットと塩で味を整えて、「アルビュフェラソース」を完成させる。

フランス料理技術講習会 by高良康之氏 魅惑のソース作り! フォンからの派生を学ぼう! Part2
フランス料理技術講習会 by高良康之氏 魅惑のソース作り! フォンからの派生を学ぼう! Part2
フランス料理技術講習会 by高良康之氏 魅惑のソース作り! フォンからの派生を学ぼう! Part2

最後は、真鯛と鶏肉の調理だ。真鯛に塩をして、ペーパータオルに挟んで冷蔵庫で30分ほど置く。その後、真鯛の皮面を強火で焼き、皮面がしっかり焼けたら、水を入れたバットにアミをセットし、その上に焼いた真鯛を置いてサラマンダーで温める。鶏ムネ肉は塩とトレハロースを全体に振り、白ポルト酒と共に真空パック。鶏モモ肉は塩を振り、ニンニクスライス、タイム、オリーブオイルと共に真空パック。鶏ムネ肉は63℃の湯煎で1時間、鶏モモ肉は75℃の湯煎で2時間火入れし、氷水に取り急冷。あとは、両方とも皮面をしっかり焼いて仕上げる。真鯛とスライスした2種類の鶏肉を皿に盛り付ければ、彩りも美しい魚料理と肉料理の完成だ。

フランス料理技術講習会 by高良康之氏 魅惑のソース作り! フォンからの派生を学ぼう! Part2
フランス料理技術講習会 by高良康之氏 魅惑のソース作り! フォンからの派生を学ぼう! Part2

高良シェフの見識の高さや経験の深さが詰まった今回の「フランス料理技術講習会」。「私は和食の料理人ですが、高良さんの講習会は必ず参加しています。普通は“作り方の行間”まで読まないとその通りの料理は作れないのですが、高良さんがおっしゃる通りに作るとその通りの料理が作れるんです。いつも、とても勉強になります」「イタリア料理の料理人です。高良シェフの考え方がよく分かり、いろいろな学びがありました。プロ向けの料理講習会は少ないので、こういう講習会はありがたいです」等々……。ジャンルを超えて、さまざまな料理人がそれぞれの収穫を得て、会場をあとにした。

text:山内 章子

Sautoir Club/月曜シェフ塾 

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