【日本のいいもの再発見】山梨県南アルプス市「スモモ」などの完熟フルーツ


山梨県西部にある南アルプス市はフルーツの一大産地。スモモ、モモ、ブドウなど様々な果実が実り、観光農園も賑わう〝フルーツ桃源郷〞だ。スモモは生産量日本一の名産品で、なかでも「貴陽」は一般のスモモより2〜3倍の大きさで甘く、希少性もあるため、かなりの高値で取引される高級品種となっている。

南アルプス市商工会は、そのほかのフルーツにも付加価値をつけようと、2004年からフルーツのブランディングに取り組んだ。事業のキーワードは、「完熟」だ。

南アルプス市の名産品 酸味が特長の果実

中国原産の果実。モモに比べて酸味が強いためスモモの和名がついたとされる。旬は6月中旬から8月中旬ごろ。代表的な品種に「大石早生」、「ソルダム」、「太陽」などがある。南アルプス市はスモモの生産量日本一で、世界一重いスモモとしてギネスに認定された「貴陽」は、南アルプス生まれの品種。糖度も高く、最高級品として知られる。

「完熟フルーツ」のおいしさを
さまざまな形で消費者に届ける

商工会は、「南アルプス桃源郷フルーツプロジェクト実行委員会」を設立。若いうちに実を収穫するのではなく、木になったまま熟させる「完熟フルーツ」をテーマに事業を開始した。そのひとつ、完熟した果実を味わえる体験型観光ツアーは、もぎたてのおいしさを実感した観光客に好評を得ている。さらに、高品質なフルーツを栽培する生産者を「完熟フルーツマスター」に認定。完熟フルーツの魅力を伝える活動を広げている。

完熟フルーツの食べごろは短い。しかし「高い技術で一次加工をすれば、素材の味を変えずに長持ちさせることも可能。様々な商品に応用できます」と、南アルプス市商工会専務理事の塩谷一郎さん。委員会はフルーツの加工にも力を入れ、「完熟ピューレ」を開発。ピューレを使った商品の販売にも乗り出し、南アルプスの「完熟フルーツ」のおいしさを気軽に味わえる「フルーツドレッシング」は人気商品となっている。

「完熟フルーツマスター」のひとり、「ぶどう仙人」の異名を持つ小野隆さんは、完熟フルーツを加工するNPO法人の理事長でもある。「ここには農家が個人で実現できない質の高い加工技術や、充実した設備があります」と語る。

ピューレや瓶詰め、ジャムなどを生産する。

NPO法人南アルプスファーム
フィールドトリップ(八田農産物加工所)

山梨県南アルプス市徳永411
☎055-285-7900
http://npo-farm.com

完熟フルーツを使った商品

NPO法人南アルプスファームフィールドトリップで加工された、スモモの「完熟ピューレ」。無添加・無着色。完熟フルーツのおいしさがそのまま味わえるピューレは、レストランやパティスリーでも人気を博している。

南アルプス桃源郷フルーツプロジェクト
実行委員会(南アルプス市商工会)

山梨県南アルプス市飯野2812
☎055-280-3730
www.minamialps.net/

問い合わせ先:南アルプス市商工会
山梨県南アルプス市飯野2812
☎055-280-3730
www.minamialps-shokokai.jp/

南アルプス市はどんなところ?

2003年に4町2村が合併してできた南アルプス市は、東に富士山(写真)を望み、北岳などの名峰がそびえる。市の東側には盆地が広がり、江戸時代に堰が整備され、気候が合うことなどから果樹栽培が盛んだ。スモモの生産量は日本一。モモ、ブドウなども高い生産量を誇る。

南アルプス市商工会の取り組み

フルーツドレッシングの生産者を訪ねる
南アルプス市商工会のバックアップのもとに開発された、南アルプスのフルーツやピューレを使ったドレッシング。商工会はセミナーを実施し、おもに農家の奥様である参加者とともに、スモモ、サクランボ、柿や、地元産のワイン、味噌などを使ってドレッシングを作った。現在はセミナー修了メンバーが6団体に分かれ商品を展開。果物の味わいが活かされ、肉や魚料理に合う。トンカツとの相性も絶妙だ。

南アルプスドレッシングクラブの塩谷益美さんと塩谷みち子さんは、「すももドレ」のほか、柿やキウイ、ブルーベリーなどのドレッシングを生産。

地元食材で特産品を作るほたるみ館では、理事長の岩間花子さん(左)と石川政子さん(右)が「すもも&赤ワイン」「さくらんぼ&赤ワイン」などを製造している。

南アルプスドレッシングクラブ
山梨県南アルプス市塩前130-11
☎055-285-1009

ほたるみ館
山梨県南アルプス市平岡1210-1
☎055-284-7180
www.hotarumikan.com

「フルーツドレッシング」を使ったひと皿

「フルーツドレッシング」とマグロのアグロドルチェ
角切りしたマグロの刺身に、揚げたナス、赤タマネギ、レーズン、ケッパー、松の実を合わせ、「すもも&赤ワイン」ドレッシングで和える。スモモの甘酸っぱさと魚介類の旨味がよくなじみ、ワインがすすむ。

しっかりとした酸味と甘み
アグロドルチェな味わいを手軽に

「メログラーノ」 後藤祐司さん

スモモは、イタリアではポピュラーな食材だ。現地で修業を重ねた後藤祐司さんも、リゾットの具や肉詰めなどで使い慣れているという。スモモのドレッシングを味わって、「クリーミーな『すももドレ』は、エビ、カキなどの揚げ物や、シュリンプカクテルに添えたり。料理にそのまま合わせるのがいいと思います。トンカツもいいですね。『すもも&赤ワイン』は「アグロドルチェ」な味付けに使
えます」と後藤さん。「アグロドルチェ」とは甘酸っぱさのこと。ドレッシングのジューシーな酸味と甘みが素材を引き立てる。「酢も入っていますから、たっぷり和えることで、保存のきく料理になりますね」。今後はスモモのピューレも活用してみたいという。

調理のポイント

材料を合わせ、最後にドレッシングをたっぷりかけてよく混ぜる。しっかりとしたフルーツの酸味と甘みがあるため、ほかの調味料を加えなくても「アグロドルチェ」なひと品に。

ジューシーな甘酸っぱさ
果汁感を満喫!

Yuji Goto

1979年千葉県生まれ。2007年渡伊。ウンブリアやシチリアのレストランを経て、11年より「ビッフィテアトロ」料理長に。15年9月「メログラーノ」開業。

メログラーノ
Melograno
東京都渋谷区広尾5-1-30 1F
☎03-6459-3625
● 18:00〜23:30(22:00LO) 土日祝のみ
昼も営業12:00〜14:30(13:30LO)
●不定休
●プ リフィックスコース5500円、お任せコース8500円、アラカルト1800円〜
●14席 http://melograno.jp/

料理王国=取材、文 星野泰孝=撮影

本記事は雑誌料理王国258号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は258号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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