中華料理を新たな地平へ導く「淡」という真実の味。
2017年の開店後わずか9ヶ月で「ミシュランガイド」の二ツ星を獲得。「アジアのベストレストラン50 (2019年版)」で23位にランクイン。今後も中華料理界に新たな地平を見せてくれるであろう、「茶禅華」と川田智也シェフを、サトタカはアツく見据える。
サトタカ(佐藤貴子)
食と旅を中心としたエディター、ライター。中華食材専門商社のECサイトを立ち上げと運営を通じて中華食材に精通。中華料理店、中華食材、中国の現地レポートなど、”中華食材の今”を丁寧に伝えるwebマガジン「80C(ハチオー)」のディレクター。
80C(ハチオー):https://80c.jp/
「『茶禅華』は日本の中華料理に世界が注目するきっかけを作った店。一見イノベーティブに見えて、中華圏の方も食べると伝統的な味わいだと納得されるところがすごい」とサトタカ。世界という地平に立つ川田シェフが料理と向き合ううえで軸としている考え方が2つある。
1つは「真味只是淡」。「真実の味わいは“淡”にある」という意味だ。「淡」という文字を分解すると「水」と「炎」。「つまり清らかさと力強さを兼ね備えている味わいのことです」と川田シェフ。
2つ目は「和魂漢才」。中国の食文化を日本の食材や精神性で昇華させた料理で勝負するというわけだ。
川田シェフならではの中国と日本が編み込まれた、見た目も味わいも清らかで力強い「初めて体験する美味」がそんなポリシーから生まれるのだ。が、自身の中で決まりごとは作っている。例えば鰹節は使わない。「鰹節を使うと圧倒的に日本料理に寄ってしまうのです。いっぽう日本の食材に中国料理の技法だけを無理やり押し付けようとすると日本の食材が反発するんです」。 いくつかある目標のひとつは「中国の伝統名菜を日本から生み出すこと」。次に川田さんが何をやるのか?「茶禅華」がどこを目指すのか?サトタカのワクワクが止まらない。
text 小林淳一 photo 鈴木泰介
本記事は雑誌料理王国2019年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は 2019年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。