プラントベースにおいて大豆は重要なたんぱく源である。今年5月、EUが打ち出した食に関する新戦略「Farm to Fork Strategy」の中では「代替たんぱく質分野の研究開発」が掲げられ、代替たんぱく質への注目度は世界的に高まっている。ここでは7つのチャートを読み解きながら、中でも日本人の食生活に昔から息づいている大豆のたんぱく質について学ぶ。
「畑の肉」とも呼ばれ、古くより貴重なたんぱく源として重宝されていた大豆。しかし、 大豆の優れた栄養価は、たんぱく質が豊富な点だけでは語りつくせない。ここでは、3つのチャートから大豆の栄養を押さえよう。
栄養バランスの良い日本食を支えるスーパーフード
Chart Aでは、他の食品と大豆の栄養価を比較。たんぱく質だけでなく、カルシウムなどのミネラル、鉄分やビタミン、食物繊維においても、大豆はそれぞれ野菜や肉・魚と互角またはそれ以上の数値を示している。さらに大豆の優秀さが際立つのがChart B。何かひとつの栄養素が突出しているわけではなく、たんぱく質・炭水化物(糖質)・脂質という、人間の体に必要な三大栄養素がまんべんなく含まれていることが分かる。Chart C の「アミノ酸スコア」によって、大豆が持つたんぱく質の上質さも示唆された。栄養価の高さ・種類の豊富さ・質の良さという三拍子が揃った大豆は、「完全栄養食」の名にふさわしいスーパーフードなのだ。
「畑の肉」の看板に偽りなし。牛肉や鰻に匹敵するたんぱく質含有量を誇る。たんぱく質以外の栄養成分の高さにも注目したい。
豆類は炭水化物を多く含む品種が多いが、大豆はたんぱく質の比率が30%以上。炭水化物のうち約半分は食物繊維で、脂質も悪玉コレステロールを下げる働きを持つ必須脂肪酸の割合が多い。栄養バランスの良さも特長だ。
食品に含まれるたんぱく質の「質」は、人間の体内で合成できない必須アミノ酸9種の含有量とバランスを示す指標「アミノ酸スコア」で評価される。点数が高いほど、どの必須アミノ酸も欠けることなく必要量が含まれていることを意味するが、大豆は、牛乳(カゼイン)や卵(卵白)と同じ最高点1.00の評価を獲得している。
text 広井亜香里 photo 八田政玄 styling 下條美緒
本記事は雑誌料理王国2020年10月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は 2020年10月号 発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。