たち吉がお届けする 全国の俊英作家ガイド10


日本の器が古くから作られてきた場所には理由があり、その風土でしかできないもの作りがある。名産地を拠点に活動する作家もいれば、最近では産地にとらわれずに創造性を追求する作家もいる。作家のあり方が変わっても、「永く使えて飽きがこない」、「ひと手間かけて仕事が丁寧」、「料理が映えて四季を感じる」といったたち吉の器へのこだわりは変わらない。その目に叶う腕利きの名10名の作家と作品をご紹介します。

これほどバラエティに富んだ作家たちと付き合えるのも、たち吉が歴史ある信頼できる老舗企業だからこそ。その作家たちのオリジナルの器を使うことができるプロジェクトも始まっている。

十人十色の作家・作品

伊藤岱玲

伊藤 岱玲たいれい

染付の独自のぼかし技法「暈彩」のもつやわらかさ

兵庫県丹波篠山市在住。1970年大阪府生まれ。京都市立芸術大学工芸科陶磁器専攻卒業後、有田焼の倉島岱山氏に師事。伊丹国際クラフト展「酒器・酒杯台」入選、伝統工芸展・近畿支部展入選。白の肌に呉須(青絵具)がにじんだような、独自のぼかしの染付技法「暈彩うんさい」を中心に作品を展開。近年は着物の絞り染や絣の風合いに惹かれ、文様を絵付けする(右)だけでなく、布の質感も磁器に表現することに挑む。


梅田健太郎

梅田 健太郎

伝統工芸・唐津焼を躍動感あふれる表現で

梅田健太郎
梅田健太郎

熊本県宇土市在住。1972年愛知県生まれ。唐津焼の中川自然坊じねんぼう氏に師事した後、独立。2013年割竹式登り窯を築く。土の手触り、温かみのある形、そして多種多様な技法で知られる唐津焼の王道を汲みつつ、伸びやかな表現が人気。写真の「朝鮮唐津」(右)は、釉薬の掛け分けが魅力で、窯の炊き方や焼き上がりに左右される点でも、陶工の技量が試されるもの。大胆さと繊細さを併せもつところが秀逸である。


鎌田 克慈かつじ

麻布に漆を施した「乾漆」の優美でしなやかなフォルム

鎌田克慈
鎌田克慈

石川県輪島市在住。1977年東京都生まれ。東北芸術工科大学工芸コース卒業後、石川県立輪島漆芸技術研修所に入所。在所時より漆芸家・赤木明登氏に師事。麻布に漆を施す「乾漆かんしつ」の技法を中心に漆器制作を行う。乾漆の表現は木に比べて形の自由度が高いところが利点。しなやかに揺らいだ線を描く「uneri」のシリーズ(右)や花の形を模した器は料理が映えると、料理のプロの愛用者も多い。


黒川正樹

黒川 正樹

アジアやアフリカ文化を日本人が使う器に昇華

黒川正樹
黒川正樹

京都市山科区在住。1977年名古屋市生まれ。大学卒業後、京都府立陶工高等専門校成形科、信楽の窯元・雲井窯を経て独立。日本陶磁器協会奨励賞入選。イタリア・ファエンツァ国際陶芸美術館に作品が収蔵されている。アジア・アフリカの一人旅で得た文化体験が創造力の源泉に。現代の縄文式土器「JOMONING」シリーズが代表作(右)。オリジナルの洗いやすく割れにくい土鍋も定番。


黒川元晴

黒川 元晴もとはる

伝統ある備前焼をモダンにアップデート

黒川元晴
黒川元晴

岡山県和気郡在住。1957年東京都生まれ。1988年現在の場所に登り窯を築き、独立。日本伝統工芸展ほか入選入賞多数。日本工芸会正会員。日本の伝統ある窯の中でも、釉薬を使わずに高温で焼しめて完成する備前焼。赤褐色の肌と火の力に任せた窯変が普遍の魅力だが、さらに変形やカットを加えた(右)モダンな表現に評価が集まる。学生時に備前焼の酒器と出会い、道を志しただけに酒器も得意。


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