食の未来が見えるウェブマガジン

京都、渡月橋の近くで器作家、鈴木智尋さんの鈴華窯を訪ねる

京都、渡月橋の近くで器作家、鈴木智尋さんの鈴華窯を訪ねる

編集長の野々山が、料理王国6月号(5月6日発売)の見どころを、編集こぼれ話として紹介。好評連載中の「たち吉と巡る美味しい器探し」で、京都、渡月橋近くの窯元を訪問。

京都のたち吉は今年で創業270年を迎える老舗の器屋さんです。今から15年以上前に、フランス系の料理雑誌の編集をしている時に、ご挨拶に伺ったことがあります。僕の昭和世代からすれば、知らない人はいないほど有名なブランド。そのたち吉が新たな事業として企画したのが、器をサブスクするというもの。詳しくは、たち吉のHPから「器のサブスク」で検索すれば詳細がわかります。

料理王国は、昨年から連載で、そのユニークな試みを取材しています。初めは作家が作る器をシェフに使っていただきたいと思って始めた企画でした。もちろん、シェフの皆様は馴染みのギャラリーがあったり、作家を知っていたりします。ただ、それだと一部の世界しか知ることができません。270年の歴史のある、たち吉だからこそできる作家との広く深いつながりに裏打ちされた信頼関係で、シェフによる作家ものの器のサブスクが実現しました。それによって、今まで一度に出会うことが難しかった全国の作家とシェフたちが繋がることができるようになったのです。  

今回、取材した鈴木さんも、そのような信頼関係があるからこそ、器を作るときのモチベーションが高まるのだと思います。作家とシェフをたち吉のネットワークが結んで、新しい一皿が産まれます。
実際、アロマフレスカの原田シェフが、初の関西出店となる「シンクロニア ディ シンジハラダ」のオープンにあたり体験したストーリーは本誌6月号に詳細が載っていて大変興味深いものです。シェフと器のドラマも美味しい一皿を作るための大切なエレメントなんですね。

渡月橋から15分ほど歩いた住宅地の一角に鈴華窯はありました。
渡月橋から15分ほど歩いた住宅地の一角に鈴華窯はありました。

鈴木さんの窯は、渡月橋の近く。実は、前回の日記で紹介した「ズバリ、日本料理」の嵐山 熊彦の撮影が終わってから、歩いて鈴華窯の撮影に向かいました。徒歩20分もかからずに到着。仕事柄、今まで、全国の窯元を取材しましたが、これほどこじんまりとした窯元を取材したのは初めてでした。昨年、同じ、たち吉のシリーズで取材して2月号に掲載した黒川正樹さんの京都の窯元も、普通の住宅の一階にあったので驚きましたが、鈴木さんの窯元はそれより小さい感じの一軒家。創作活動に支障はないので、これが令和の時代の窯元の姿なのかと思いました。
鈴木さんの器は、飲食店で使われることが多いそうです。それもそのはず、鈴木さんは使っているうちにフチが欠けないように、器にちょっとした工夫をしているといいます。陶芸を始めた原点が粉引の器だったという鈴木さん。それがどういう経緯で今の作品に繋がったのか。6月号で詳細をご覧ください。

 昭和の時代から窯元を取材している僕としては、鈴木さんのように職人肌の研究熱心な作家の方は、山の中に窯を作るものだと思っていました。今の時代、電気釜があれば小さいスペースでも作陶ができる。街の中に作家がいて器を作っていると思うと、なんとなくワクワクしますね。そうした一人一人を束ねてコーディネートをしていく。器のサブスクを通して作家を応援して、シェフに思う存分、作家ものの器を使ってもらう。作家もシェフもたち吉も全てがうまくいくと、日本の料理界に新しい作家ものの器の波が起こる予感がします。
まだ料理王国の誌面で続くたち吉と巡る美味しい器の旅、ぜひバックナンバーと合わせてお楽しみください。

平面的な器はシェフの使い勝手がいいようです。強度を考えたフチの厚みがわかりますか?
平面的な器はシェフの使い勝手がいいようです。強度を考えたフチの厚みがわかりますか?
狭いところに積み重ねられた作品の数々。鈴木さんの作品が料理人に愛される理由がわかる気がします。
狭いところに積み重ねられた作品の数々。鈴木さんの作品が料理人に愛される理由がわかる気がします。
犬?かと思ったら、今年の干支の虎だそうです。
犬?かと思ったら、今年の干支の虎だそうです。
焼成の温度の差によって色が微妙に変わっていく。この土まかせの変化が鈴木さんお作品の魅力ですね。
焼成の温度の差によって色が微妙に変わっていく。この土まかせの変化が鈴木さんお作品の魅力ですね。

text・photo:野々山豊純

関連記事


SNSでフォローする