【人気バルの絶品レシピ】銀座「パイスバスコ」の『フォアグラ・アナゴ・果物のミルフィーユ』


三ツ星レストランの味から伝統料理まで
90種のメニューとスペインの地酒が豊富に揃う

夕暮れになると都会の路地裏にともるバルの灯り。テラス席での語らいが心地よい季節には、笑いや語らいの声も聞こえてくる。その賑わいに誘われて、今夜は「パイス バスコ」で地酒に酔ってみるか――。

微発泡ワインのチャコリとバスク地方の名店の味

ざわめきの理由は、ゲストたちが慣れない手つきでつぐチャコリであったりする。チャコリとはスペイン北部、バスク地方のビスカイコやアラバコ、ゲタリアコで造られる微発泡タイプのワインのこと。これを高い位置から、口が広くて底が平たいグラスめがけて勢いよくつぐ。こうすることで眠っていた香りの粒がはじけて酸味もまろやかになる。最初は店のスタッフが手本を示し、あとはゲストが自分でつぐが、グラスからこぼれたり跳ねたり、にわかに起こる笑いが酒の肴になる。

シェフの山田朋仙さんとともにこの店を経営する店長の工藤年男さんは、「チャコリはスペインの地酒で気楽に味わう酒。グラスからこぼれるくらいに勢いよくつぐのが粋とされているんですよ」。豊富に取り揃えたチャコリは「パイス バスコ」の看板のひとつだ。

このチャコリの味を引き立てるのが90種近い料理。メニューは、「伝統的料理」「おすすめの料理」「オリジナル料理」に色分けされ、中には山田シェフが修業を積んだスペインの三ツ星レストラン「マルティンベラサテギ」の許可を得て提供している料理もある。この日、山田シェフが作ってくれた「フォワグラ、アナゴ、果物のミルフィーユ」もそのひとつ。スペインの三ツ星店の味が日本で堪能できるのもこの店の魅力だ。「バスク地方は世界でも有数の美食エリアなのに、日本ではまだあまり知られていない。料理を通して伝えていけたらと思っています」と山田シェフは抱負を語る。

工藤店長と山田シェフが共同経営者としてこの店をオープンさせたのが2年前。その時にふたりがイメージしたのは、飲食店が世界一密集しているといわれる、バスク地方のサン・セバスチャン通りだ。「銀座のこの界隈にバルが増えているのは、よい傾向だと思います」と工藤さん。自分の店の成功だけでなくエリア全体の賑わいを求める――この視野の広さが、「パイス バスコ」の熱気の源となっている。

3階建ての「パイス バスコ」は、1階がカウンターとテラス席、2、3階がテーブル席。

BAR DATA
坪数 21坪(3フロアのトータル)
席数 カウンター10席 テラス12席
テーブル38席(2・3F合わせて)
料理 350円〜4800円
ドリンク(ボトル)3000円〜55000円
客単価 5000円〜6000円

その日の気分や目的に合わせて、
バルだけでなくレストランとしても利用できる

勧める人
株式会社グラナダ 代表取締役
「レストラン サンパウ」等のオーナー
下山 雄司さん

日本のスペイン料理店には、地方に根ざした店がまだ少なく、バスク料理のここは貴重。現地の三ツ星で修業したシェフは、フォワグラとアナゴのような新バスク料理も作れ、オーソドックスな料理も旨い。バスクの地酒チャコリも現地同様に専用グラスで飲めるのがいいですね。

現在、調理スタッフは3人、サービス担当も3人。この人数で3フロアーある店を切り回しているのでスタッフは大忙しだ。

カウンターにはキノコのマリネやイイダコのボイル、クスクス、オリーブ、ジャガイモのサラダ等が並ぶ。

店内の黒板にはおすすめの料理が紹介されている。日本の食材も厳選して提供。秋田県北西部の白神山地で育てられた乳飲み仔牛の旨さには、誰もが感嘆するという。(4月8日現在の値段)

テーブルを回って、実際にチャコリをついで見せる工藤さん。「チャコリのほとんどは辛口の白ですが、一部ロゼもあり、中には普通のワインのように注いで飲むほうがよいタイプのものもあります」

【レシピ】フォワグラ、アナゴ、果物のミルフィーユ

果物はリンゴを用いることが多く、フォワグラやアナゴのやわらかさにリンゴの歯触りがアクセントとなっている。

材料(25 人分)
フォワグラ…1200ℊ/リンゴ…1個/アナゴ…5本/グラニュー糖…適量

作り方
1.フォワグラはきれにそうじして蒸し器で5~8分ほど加熱する。
2.1 のフォワグラを一番下に敷きつめる。
3.その上に皮をむいて、スライスしたリンゴを敷きつめる。
4.蒸して平らにしたアナゴを重ねる。
5.4の上にさらにフォワグラを重ねて敷きつめる。
6.サービスの時に、5をカットしたものの上にグラニュー糖をふりかけ、バーナーでカラメリーゼする。

Tomohisa Yamada

1964年、東京生まれ。都内のフレンチやイタリア料理店などを経て、渡伊。北はピエモンテから南はシチリアまでさまざまな店で修業を積む。2001年からはスペインへ。「マルティン ベラサテギ」等の星付きレストランで腕を磨いて帰国。2012年、念願だったバスク料理の店を工藤年男さんとともに開く。

パイス バスコ
Pais Vasco

東京都中央区銀座₇-₃-₁₆
☎03-6228-5601
●17:30~翌3:00(翌2:00LO)
●日休
●コ ース 3000円~
(バスク入門セット)
●60席
http://paisvasco.jp

上村久留美=取材、文 大野利洋=撮影

本記事は雑誌料理王国238号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は238号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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