10年の準備期間を経て兄弟で独立!荻窪「ウッドグッドブラザーズ」


 雑貨メーカーや家具屋で勤務経験を積んだ木村雄太さんと、カフェ経営を学んだ木村雄麻さんは、2歳違いの兄弟。そのふたりがタッグを組み、2017年に荻窪にオープンさせた「wood good brothers」は、店内にあるテーブルやイス、インテリア雑貨を実際に試してから購入できる、体験型インテリアカフェだ。

大学時代から思い描いた夢を10年の準備期間を経て実現

大学時代から漠然と店をやりたいという想いを抱いていた、という兄の雄太さん。インテリアに興味があった雄太さんが考えたのが、家具をじっくり試し、見て、座ることができるスペースだ。

「家具は、スーパーやコンビニで衝動買いするようなものではありません。買う前に使用感を試せるお店があれば、購入までのハードルが下がるのではないかと考え、思いついたのが、家具を気軽に試せる体験型のカフェです。弟がずっとカフェで働いていたので、私が24歳の時に『一緒にやってみないか』と声を掛けたところ、快い返事をもらうことができました」

雄太さんが30歳になる年に店をオープンすることを目標に、雄太さんはインテリア業界で、雄麻さんはカフェ業界で、それぞれ経験を積むことにしたという。

店のオープンに向けてふたりがこだわったのが、店の立地と内装。2014年頃から、自分たちの思い描くコンセプトやイメージと合致するエリアを見つけるため、仕事の合間を縫って関東一円を探して回った。そして、6~7カ所の候補から最終的に選んだのが、荻窪だった。内装は業者任せにするのではなく、床や壁、天井など、お客さまから見えるところは自分たちで行うことで、イメージ通りの仕上がりにすることができたうえ、コストカットにも成功。ただ、反省する点もあったと雄太さんは言う。

「場所が決まってからオープンまでに時間をかけすぎたと感じています。もう少しスピーディーにやりたかったな……と。時間がかかった理由は、内装業者選定と工事の開始までに想像以上に時間がかかったため。なるべくお金がかからないように、5~6社から見積もりを取ったことと、リーズナブルでベストな業者を選ぶのに手間取りました。自分たちで内装をすることを許可してくれる業者さんがなかなかいなかったのも、時間がかかった理由です」

予定よりも時間を使ってしまったが、内装代は200万円程度も低く抑えられた。資金調達で苦労するケースが多いなか、100万円単位でのコストカットは大きい。開店資金の半分は、10年の構想期間にふたりでコツコツと貯めた貯金を充て、足りないぶんは日本政策金融公庫、信用金庫、親族からの借り入れで賄った。

「大手銀行から借り入れするのは難しいと思っていました。そこで頼ったのが、お店の近くにある信用金庫。それまでに取引があったわけではないのですが、意外とスムーズに話が通りました。事業計画書を出すにあたってわからないところがたくさんあり、その都度担当者の方に聞いていましたが、とても親切に教えてくれました」

ふたりで協力してひとつの店を作り上げた木村兄弟が考える、チームで独立開業に向いている人とは?

「グイグイ引っ張っていくリーダータイプと、それについていく女房タイプだといいのでは。僕らの場合は、カフェ担当、インテリア担当と、それぞれが主導権を握っていて、シーンごとにリーダーが替わる。それぞれの分野に関して口出しをしないので、うまくバランスが取れているのだと思います」

ふたりは、カフェやインテリアが好きな仲間を増やし、2年後に2号店を開業することを目標にしている。

兄・木村雄太さん と 弟・木村雄麻さん

兄弟で独立開業

メリット

阿吽の呼吸で仕事を進められる
「子供の頃から一緒に住んでいたので、お互いの性格がよくわかっている」と話す雄太さん。いちいち言葉にして指示をしなくても、それぞれをフォローするように作業を進められると感じているそう。コミュニケーションにかける労力が少なくて済むので、他人と働くより仕事がスムーズ。

大きな喧嘩になることがない
一日中同じ空間にいて仕事をしているため、相手に対してムッとすることも。でも、幼い頃から仲がよかった兄弟ということもあり、言い合いや、大きな喧嘩に発展することがなく、軽く流せるよう。気になったことや改善したほうがいいと思うことは、ひと呼吸おいてから話をし、解決するようにしている。

デメリット

お互いに頼りすぎてしまうことも
阿吽の呼吸で仕事が進められるというメリットは、裏を返せばデメリットになることも。相手を信じて任せすぎてしまい、やらなければいけないことが終わっておらず、仕事のペースが乱れることもあるという。同じミスを起こさないよう、互いに「この仕事は自分がやる」と意思表示をするように心がけている。

お客さまによく質問される
「デメリットとは言えないかもしれませんが、どちらが兄で、どちらが弟かとお客さまから聞かれることがとても多いです(笑)」と雄太さん。そのたびに、「どちらでしょう?」と答えるそう。このひと言がきっかけでお客さまとのコミュニケーションが広がることもあるので、メリットになっているとも言える。

ウッドグッドブラザーズ
wood good brothers


東京都杉並区荻窪5-16-20 SNビル 1F
03-6279-9748

本記事は雑誌料理王国2018年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2018年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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