【漲る!地方食材】埼玉県・所沢市「ウズラ」


フランス生まれ埼玉育ちの健康で美味な愛らしい家禽

「輸入品はいつさばいたものなのかわかりませんが、モトキのウズラはおろした翌日届くので鮮度が高く、内臓も愛用しています」と語るのは、埼玉県所沢市「イタリアンオット」のシェフ、山形聡さん。

1956年に日本ウズラの飼育を始めた㈱モトキ(本社・埼玉県所沢市)では、2002年にブルターニュからウズラの種卵を輸入。以来、自社の鶉舎でふ化から飼育、解体までを一貫して行ってきた。

「弊社が手がけるフランスウズラの『シャントゥ・カィユ』は、日本ウズラよりも約3倍大きく、肉付きもいいのが特徴です。しかも輸入品と比べ、新鮮で旨味も充分のっています」とモトキ社長の本木裕一朗さん。

その秘密は飼育法にあるようだ。鶉舎にはモーツァルトの音楽を流し、ストレスが少なく、衛生的な環境を整備。餌はフランス産ワインの搾りかすやブドウの種、貝化石、有用微生物などを混ぜた配合飼料を使用。水道水を特殊セラミックや備長炭で濾過した水を与えている。

ふ化させたヒナを2.5月育てた後、雌雄鑑別をし、オスは食肉に加工。メスは食用卵をとるために半年ほど育てた後に〆る。現在、採卵用に約2500羽のメスと、繁殖用に約500羽(オス1羽に対し、メス4羽の割合)を育てている。

「健康なウズラがおいしさを生むというのが弊社の企業理念です。飼料、水、衛生的な環境を整え、今後もおいしいウズラを飼育していきます」

記憶に残る食材を探求している料理人に、ウズラの新しい魅力と可能性を提供してくれるはずだ。

ホルモンの分泌を促進する効果があるとされるピンク色の照明でシャントゥ・カィユを育てている。

【うずら】

キジ目キジ科ウズラ属。全長約20㎝とキジ科の中ではもっとも小型。シベリア南部や朝鮮半島、中国、モンゴル東部、日本などに分布する。江戸初期はウズラ狩が盛んで、その愛らしい鳴声を競うために飼育された。明治期、卵の栄養価が高いことから人気を集めた。肉は赤身が多くて脂肪が少なく、肉質が繊細で低カロリー。ハトと比較すると鉄分が少なく、食べやすい。家禽としては愛知県豊橋市が産地として有名。国産は小型で100gほどしかなく、身が少ない。輸入品はフランス産が主流で、150〜250g前後の大きくて肉付きがいいものが流通している。個体が小さく、丸鳥で売られることが多い。

中島茂信・文 高橋仁己・写真

本記事は雑誌料理王国2011年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2011年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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