団体や協会を設立して、普及を図る食材がある。手に入りやすい食材から、市場にはほとんど流通しない希少食材まで、その魅力を改めて深掘りするとともに、さまざまな取り組みや研究について紹介する
カリフォルニアでプルーン栽培が始まったのは1856年。南仏原産種を気候に合わせて改良し、生産者の熱意と高い農業技術により一大産地に。現在アメリカ産の99%をシェア。世界生産量では約4割に相当し、世界60カ国以上へ輸出される。カリフォルニア産プルーンの最大市場は日本。30年以上緊密な関係を築き、日本国内流通の9割以上をカリフォルニア産が占める。
プルーンと聞くと思い浮かべるのは、あの濃厚な甘味ではないだろうか。砂糖などは加えていない、果実のうま味だけを濃縮させた天然の甘味だ。プラムのなかでも糖度の高い品種(西洋すもも)を、糖度25%を超えるまで樹上で完熟させてから収穫する。その後、熱風で乾燥。
さらに出荷時に、オーダーごとに水分値を調整して仕上げるのもカリフォルニア産プルーンのこだわりだ。
例えば、日本では他国よりも柔らかめの食感が好まれるため、水分値を高く仕上げているそうだ。味や品質、技術の高さだけでなく、各市場の求める基準や嗜好性に応える真摯な姿勢にも大きな信頼が寄せられる。
日本では鉄分の多さのみがフォーカスされ、女性を中心に消費されてきたが、世界的にはビタミンやミネラルなどの栄養素や抗酸化物質を豊富に含む低GI値食品として評価が高く、男女年齢を問わず広く愛食されている。また食物繊維が豊富で、水溶性と不溶性の2種をバランスよく含み、整腸作用にエビデンスがあり、美容健康食品としても定評がある。
食材としての能力にもあふれ、各所で活用される。コクを加えて味を引き出す働きから、食品業界ではソースやルーなどに天然調味料として多用。パンや焼き菓子にプルーンピューレを油脂代わりに使うとペクチンやソルビトールの働きでしっとりもちもちの仕上がりになることから、製パン製菓業界への導入も進む。
カリフォルニア
プルーン協会
https://www.prune.jp
カリフォルニアプルーン協会は1952年に設立。約800の生産者及び28の加工業者を代表する機関で、カリフォルニア州農務局の管轄のもと、調査や品質管理などを行ない、広報活動を通して消費者への浸透を目指す。
text: Yuki Kimishima
本記事は雑誌料理王国319号(2021年12月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は319号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。