ここ3年ほどのコロナ禍で、飲食業界の大きなイベントは軒並み中止や延期や縮小を余儀なくされ、新しい流れや情報交換の場がないまま時間だけが過ぎていったような気がします。それが欧米系の飲食関連のイベントを皮切りに、次々に開催されるように。
今回の大阪でのイベントは、東京・神谷町にあるイノベーティブなレストラン「SUGALABO」と、ルイ・ヴィトンがコラボ運営するSUGALABO Vで。フランスの料理雑誌の日本版を作っていた18年ほど前から知っていて大ファンだったKRUGと、須賀洋介シェフの料理とのペアリング。大きな期待を抱いての大阪出張でした。
KRUGは、1843年、ヨーゼフ・クリュッグが創業したシャンパーニュメゾン。気候に左右されることなく最高のシャンパーニュを作ることを夢見た彼は、一つ一つの区画から生まれるワインの特性を見極め、さまざまな年のリザーブワインの膨大なライブラリーを構築。以来、毎年、ヴィンテージという概念を超え、クリュッグ グランド・キュベと、クリュッグ ロゼの新たなエディションを生み出しています。
クリュッグ最高醸造責任者のジュリー・カヴィルさんは、ベースとなる年の約250区画で作られたワインと、10年以上の収穫年の異なる150区画のリザーブワインを、テイスティング委員会とともにテイスティング。それぞれのワインは単一区画が持つ独自の特徴を捉えたものなので、全部で4000を超えるテイスティングノートが記録されていると言います。
それを元にその年のブレンドが決定。さらに世に送り出すまでセラーで7年寝かすとのこと。全てのボトルの裏のラベルにあるIDを入力すれば、オンラインでその物語を見ることができるという徹底ぶり。どおりでKRUGは美味しいはずです。一口飲んだだけでもその違いはわかりますよね。イベントの主催者が挨拶で「一区画は小さな庭のようなところ。それぞれが奏でる音を合わせてシンフォニーにすることが我々の仕事」と話されていたのが印象的でした。
KRUGは、7年前から、単一食材のレシピにこだわって、世界中にいるアンバサダーシェフとイベントを開催しています。須賀シェフは、7年前から参加していて、卵の時は香港で、唐辛子の時はメキシコでというように、アンバサダーシェフとともに世界中を巡っているとのこと。今年のテーマはRICEで、日本での開催になったようです。
7周年を迎えたこのプログラムでは、7つの「KRUG.RICEクッキングチャレンジ」を発表。クリュッグアンバサダーシェフたちは、フィンガーフード、ロゼに合うレシピ、ベジタリアン料理、屋台風レシピ、シェアフード、音楽からインスピレーションを得た料理、グランド・キュヴェに合うスイーツなどの7つのチャレンジに沿ってレシピを考案したとのこと。それぞれのシェフたちの生まれ育った文化や経験、嗜好からインスピレーションを得て、料理という作品に命を吹き込み「KRUG.RICE」を表現しています。
6月には日本のクリュッグアンバサダーシェフ10人が、ライスとのペアリングを追求する旅の舞台として東京に集まりました。クリュッグ6代目当主オリヴィエ・クリュッグ氏を迎え、クリュッグ仕様の屋形船に乗船。磨き度を変えた3種類の精米の比較テイスティングなどのアクティビティで束の間のギャザリングを愉しんだそうです。
クリュッグアンバサダーシェフたちの創造力を深く知ることのできる200ページもの大作「KRUG.RICEBOOK」では、世界25か国よりミシュラン星計78つ、日本人シェフ5名を含む全75名のアンバサダーが「KRUG.RICE」のためのレシピを公開しています。ただ残念なことにこの魅力的な本は非売品で、一部のアンバサダーシェフのレストランに置いてあるとのことでした。
12月1日(木)、12月2日(金)には、クリュッグアンバサダーシェフの鮨し人木村氏と、リューズのシェフ、飯塚氏がコラボレーションして、ライスをテーマにした特別な一皿を提供するイベントを実施予定。「KRUG.RICE」のために考案した唯一無二の料理と、クリュッグ グランド・キュヴェ170エディションのペアリングが彩る贅沢なひとときをお愉しみください、とのことです。このイベントも楽しみですね。
さて、前置きが長くなりましたが、この日の大阪のイベント。4Hands Dinnerとタイトルが記されていた通り、須賀シェフとアンヌ=ソフィ・ピック シェフの共演でした。ラ・メゾン・ピックは、130年以上続いたリヨンと南仏の中間に位置するヴァランス市にあるレストランで、女性シェフとしては1933年以来の三つ星という快挙を成し遂げた人。須賀シェフとの料理の饗宴、さらにはKRUGとのペアリングチャレンジは、料理王国はもちろん、各メディアも大注目のイベントでした。
まずは、多田さんの24ヶ月熟成のベルシュウ。 手で摘んで食べてと須賀シェフ。テーマのライスは生ハムに巻かれて出てきました。ご飯の食感は不思議なもので、普通の炊き方とは違う手法と須賀シェフ。味もなかなかのチャレンジものでした。
続いて、ピックシェフの北海道・根室 雲丹 青森・弘前 りんご。
なんと美しい一皿でしょう! 女性シェフならではの繊細さを感じました。味のバランスも素晴らしいものでした。
中身はこんな感じ。雲丹と林檎の共演が素晴らしいハーモニーを奏でていました。
続いては須賀シェフの静岡・沼津港 赤座海老 キャビア。キャビアはピックシェフがフランスから持ち込んだもので、たっぷりと。かなり塩味が効いていました。赤座海老はこんなに立派なものを。
一つ飛んで、須賀シェフの兵庫・丹波赤どり フォアグラ セップ茸 銀杏。塩釜蒸しで、見事なプレゼンテーションでした。
須賀シェフの赤どりには、栗の炊き込みご飯が付いていて、さらにカレーで味付け。炊き込みご飯にカレーをかけても、もちろんそのまま食べても美味しいと須賀シェフ。至れり尽くせりのおもてなしでした。
ここからはKRUGから提供された公式写真でのペアリングのご紹介。
まずは、ピックシェフの北海道・根室 雲丹 青森・弘前 りんご、と、クリュッグ グランド・キュヴェ 170エディション。これは美味しかった。それしか言葉が見つかりません。
須賀シェフの静岡・沼津港 赤座海老 キャビア。
ペアリングは、クリュッグ グランド・キュヴェ 161エディション ジェロボアム。
ピックシェフの佐賀・唐津 クエ キャビア。
これも絵画を見るように繊細で美しい一皿でした。フランスではスズキでやるレシピをクエに変えたとピックシェフ。美味しかったです。クリュッグ ロゼ26エディションを合わせて。ロゼのシャンパーニュ、華やかでいいですよね。この一皿にふさわしい良い眺めでした。
最後の一皿は、須賀シェフの兵庫・丹波赤どり フォアグラ セップ茸 銀杏。炊き込みご飯付きでカレー味のソース。
クリュッグ ロゼ20エディションを合わせて。ピックシェフとは対照的な男性的な一皿。これもロゼに合いましたが、エディション違いでロゼの華やかさが違うことに新鮮さと驚きを感じました。
SUGALABO VでのKRUGのイベントは華やかに幕を閉じました。
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