普段はなかなか見ることができないシェフ達の手元がしっかり映っていて分かりやすく、プロにもアマチュアにも支持されているYou Tubeチャンネル「料理王国」。23年4月号では、東西のフレンチシェフの技術を収録。ぜひ、本誌やWEB記事と併せて動画もご覧ください。
昨年12月に移転し、モダンに生まれ変わった『ルポンドシエル』は今年で創業50年。歴代のフランス人シェフに師事し、現在、総料理長を務めるのが小楠修シェフだ。
今回披露してくれた料理の主役は長崎県佐世保で揚がったウチワエビ。小楠シェフの幼少期にはぶつ切りにして味噌汁に入れていたという、親しみ深い素材だ。「ウチワエビは固すぎず柔らかすぎない身質と上品な甘みが特徴。今回はさっと火を通す調理法のスナッケで半生にし、甘みを活かします」
そこに合わせるのは、佐世保固有の柑橘・江上文旦とオリーブオイルを合わせた、マルテーズ風ソース。白ワイン・水・卵黄などをもったりするまで泡立て、煮詰めた江上文旦の果汁や果肉、うま味の濃い小串(おぐし)トマトを加えて仕上げ、半生のウチワエビに絡める。
付け合わせは「加えると甲殻類の風味と相性がいい」というヌックマムを隠し味として加えたブロッコリーのピュレや、江上文旦の果実。ウチワエビの頭と殻をフォン・ブランで煮出したスープと共に提供すれば、デクリネゾンとしてウチワエビの美味しさを余すことなく堪能できる一品に。「この組み合わせが最高」と微笑むシェフの言葉通り、ウチワエビの甘みにまったりした卵のソースが寄り添い、そこに文旦の香りや瑞々しさが清々しい印象を与えている。
LE PONT DE CIEL 小楠 修
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text:Ryoko Sato photo: Shohee Murakawa