グラナ・パダーノPDOが織りなす極上のガストロノミー 今訪れたい注目の3店


豊かな風土と歴史が育んだグラナ・パダーノ PDO。現地の料理人たちは、このチーズをどんな一皿へと昇華させているのか。2回目となる今回は、イタリア滞在中に巡った現地のレストランを紹介する。

「クチーナ・ポップ」で楽しむ至福のイタリアン「オルモ」

オーナーシェフのダヴィデ・オルダーニ氏

ミラノ郊外コルナレードにある「オルモ(Olmo)」は、イタリア料理界を牽引するダヴィデ・オルダーニ氏のレストランだ。広場を隔てた向かいには、同氏が手掛ける「最も予約のとれないレストランのひとつ」として知られる「ディーオー(D’O)」がある。

オープンキッチンならではのライブ感が、食事のひとときをさらに盛り上げてくれる。

オルダーニ氏が掲げるのは、上質な地元の旬食材を誰もが手の届く価格で提供する「クチーナ・ポップ」という哲学。この日は、その理念が息づくテーブルで、グラナ・パダーノPDOと地元食材が美しく調和した珠玉のランチコースを堪能した。

最初に登場したフィンガーフードは、イタリアの伝統パン「ティジェッラ(Tigella)」。
色とりどりのニンジンを用いた、ニンジンのキャラメリゼとソルベ。
ニョッキに鮮やかなクレソンのクリームソースが映える。
スズキのコンフィに合わせたのは、えんどう豆のムースと、爽やかなディルが香るクリーミーなヨーグルトソース。
仔牛肉のオイル仕立てビアンケットソース。添えられているのは、イタリアでは「春を告げる食材」として親しまれているアグレッティ。
デザートは山羊乳のパンナコッタ。イチゴのコンポートとフローズンレモンバームの爽やかさに、グラナ・パダーノPDOの塩気が重なる驚きの一皿。
コースの最後には、自家製のプラリネチョコレートのお楽しみも。

スイーツやパン、グリッシーニに至るまで、すべてが自家製。さらに、店内の照明やカトラリーまでもオリジナルでデザインされ、細部に宿る徹底したこだわりが空間全体の体験を高めていた。

地元の旬の食材が、シェフの手仕事によって未知なる一皿へと姿を変える。その味わいはもちろんのこと、随所に散りばめられた遊び心あふれる仕掛けに、食べるのが惜しくなってしまうほど。テーブルには常に、心躍る温かな驚きが満ちていた。

ぶどう畑の絶景とライブ感に酔いしれる。「オステリア・アッラ・トッレ」

蔦が絡まる石造りの外観。店内は地元客と観光客で賑わう。

ガルダ湖畔の街デゼンツァーノ・デル・ガルダに佇む「オステリア・アッラ・トッレ(Osteria Alla Torre)」は、すぐそばにはサン・マルティーノの塔がそびえ立ち、目の前にぶどう畑が広がるという美しいロケーションに位置している。

オステリアならではの気取らない温かなサービスと活気にあふれる店内で、今回はグラナ・パダーノPDOを用いた多彩な料理とともに、目の前で繰り広げられる調理のライブ感を堪能した。

ポーチドエッグに紫芋と黒トリュフを合わせ、グラナ・パダーノ・チーズクリームでまろやかに仕立てた一皿。
ズッキーニの花が鮮やかに彩りを添える、グラナ・パダーノPDOの風味豊かなリゾット。
旨味あふれる鹿肉のロースト。削りたてのグラナ・パダーノPDOが、味わいに豊かな奥行きを与えている。

そして、同店の代名詞ともいえる名物メニューが「テーブルサイドで仕立てる、牛フィレ肉の特製タルタル」だ。新鮮な牛フィレ肉をナイフで細かく手切りし、ハーブやスパイスとともに目の前で仕上げてくれる。

手際よく調理していくその過程そのものが、料理を引き立てる最高のスパイス。ゲストの好みに合わせた味付けのカスタマイズにも応えてくれる。
完成した絶品のタルタルステーキは、香ばしくトーストされたパンにのせて。

日本ではなかなか味わう機会の少ない牛肉のタルタルは、赤身肉本来のフレッシュな甘みとコク、そしてとろけるようにまろやかな味わい。地元の赤ワインとの相性が抜群だったことは、言うまでもない。

ガルダ湖の絶景と芸術的な料理を楽しむ「ラ・スペランジーナ・レストラン」

目の前には美しいガルダ湖のパノラマが広がる。

シルミオーネに位置するミシュラン一つ星「ラ・スペランジーナ・レストラン(La Speranzina Restaurant)」は、同店を初のミシュラン一つ星へと導いた前シェフ、ファブリツィオ・モルテーニ氏からバトンを受け、2024年より気鋭のデルフォ・スキアッフィーノ氏が新たに厨房を引き継いだ名店だ。

「料理はストーリーテリング」と語るスキアッフィーノ氏の言葉どおり、どの一皿も芸術的な美しさにあふれていた。

繊細で美しいカナッペ。これから始まる美食のひとときへの期待を高めてくれる。
マツァーラ産赤エビが主役の一皿。マテ貝の深い旨みとトマトの酸味、柚子の爽やかな香りがアクセントを加える、目にも鮮やかな前菜。
グラナ・パダーノPDOを使ったラザニアに、ジェノベーゼソースと新鮮な魚介(ホタテ、牡蠣)がハーモニーを奏でる。デルフォ氏のシグネチャーディッシュ。
リグーリア海産のスズキに、泡状に仕立てたグラナ・パダーノPDOを合わせた一皿。レモンやキュウリ、スパイシーなソプレッサータの塩気が、魚の旨みを引き立てる。
濃厚なチョコレートと香ばしいヘーゼルナッツの王道の組み合わせに、パッションフルーツの鮮烈な酸味を効かせたデザート。
地下のセラーには、希少なヴィンテージワインが揃う。

セラーには数千本もの希少なヴィンテージワインが静かに眠っている。湖面の絶景を眺めながら味わう極上のチーズとワインのペアリングは、ヨーロッパの食文化の奥深い豊かさを象徴していた。

第1回 ヨーロッパNo.1のPDO製品「グラナ・パダーノPDO」現地取材

Text:Sachiko Minowa photo:Masami Murao

3,000記事以上 会員限定記事が読み放題 無料会員登録

SNSでフォローする